かごめかごめ
走って来たパンダちゃんが、震える手で私の手を掴んで引っ張ってく。
「えっ!ちょっと、ちょっと……」
怒る分けにも行かないし、取り合えず引っ張られるがまま付いて行く。
境内の中央まで連れていかれると、子供達が私を中心に手を繋いで、円陣を組む。
そして、時計回りに私の周囲を回りながら歌い出す……。
「かごめかごめ♪」
えっ?
何これ?
私とかごめかごめをって事?
うーーん、要は私と遊びたいって事かなぁ~。
この状況は私が鬼って事だよね。
しゃがんで、手で目隠しした方が良いのかなぁ……。
「かーごのなかの鳥は♪」
でも、子供達からはそんな指示はされないし、なんか淡々と、かごめかごめを歌ってる。
なんか、妙に不安に成って来た。
そもそも、わらべ歌って、チョット怖いよね。
さっきの通りゃんせとかもそうだけど、かごめかごめも何か怖い意味が有りそうで、不安な歌なんよね。
「いついつ出やる♪」
確か籠の中の鳥って言うのは処刑される罪人を指してるとか、妊婦さんのことを指すとかいろんな説が有るみたいだけど……。
「よあけのばんに♪」
そもそも、夜明けの晩って何時のことだろ?
夜が明ける前ってことかな?
そう言えば今って夕方?
えっ?
本当に?
駅で見た時計だと五時ちょうどだったけど。
あれは、午前?午後?どっちよ?
「つるとかめがすべった♪」
鶴と亀、縁起のいい象徴が滑る……つまり、凶兆って事かな?
ん!?
なんか変な感覚……気分が悪い……嫌な予感がする。
多分、蘆屋小町の方の直感。
目に魔力を集中……やっぱり!
この子達魔法を使ってる。
子供達から、魔力が溢れてる。
それも、見たことが無い色……黄色い魔力。
「うしろの♪」
そう言えば、『かごめ』って『籠目』、竹で編まれた籠の編み目の模様。
「しょうめん♪」
籠目模様……即ち、六芒星!
地面に六芒星が浮かび上がり黄色く光る。
「だあれ♪」
これは、召喚魔法!
咄嗟に右手で刀印を結んで構え、振り向く!
…………何これ?
案山子?
子供達は、ワーワーって逃げる様に走って、石灯籠の後ろに隠れてこっちを見てる。
かごめかごめで、案山子を召喚?
それで……何したいの?
子供達の間で流行ってるイタズラとか?
ダメだ……この世界のシュールさに付いて行けん……ん?
いや、これ只の案山子じゃない!
確かにフォルムは案山子。
野良着を着せて、編み笠を被せた、普通の案山子に見える。
でも、目よ!
目が人の目。
動いてるし、血走った目で私を見てる!
チョーキモイ!
刀印に魔力を込めて、案山子と対峙する。
もー!いったい何なのよ!
あの子達は、私と案山子をバトルさせて何がしたいのよ!
見物して楽しむとか?
でも、そんな底意地の悪い子達じゃない気もするんだけど……。
ともかく、目の前のコイツを何とかしないと。
でも……何もして来ないわね……どして?
案山子は私を観察する様に眺めてる。
そんで、ぴょんと私の右側に回り込む様にジャンプ。
当然、私は刀印を身構えたまま、そっちの方向を向く。
で、さらにぴょんぴょんと私の周りを、やっぱり観察する様に飛び回る。
一体、何がしたいのよ、この案山子は……。
暫くそんな行動を続けた後、なんかさっきまで血走ってた目が、穏やかなつぶらな目に変わって……黄色い粒子に成って消えてった……。
満足したってこと?
一体なにがしたかったのよ!
よう分からん……。
でも、バトルしないで済んだのは、良かったよ~。
子供達の方を見る。
すると、ワーワーって境内から逃げてった。
あれ、でもパンダちゃんか丁寧なお辞儀、そんで、みんなを追いかける様に境内の外に走ってった……。
なんだろう?ゴメンナサイって事かな?
じゃあ、やっぱ何かイタズラ?
うーーん、シュール過ぎて謎だけど、なんかあの子達なりの理由が有った様な気もする……。
でも、ホント何だったんだろう……。
あっ!
拝殿の前の御賽銭箱の裏からキツネの面がこっち見てる。
あのキツネだ!
私が不思議体験してる間にどこ行ってたんよ~、まったく!
で、またスタスタと拝殿の横を回り込む様に歩き出した。
そんで、拝殿の角で止まって、私を振り返る。
「しゃあ無い、付いて行きますよ!」




