何丁目の夕日っスか!
何ここ……。
メッチャ、レトロな街並み。
木造の家屋や商店が並んでる。
あっ、電柱まで木造だ。
偉いド田舎来ちゃったよ……。
ん?
地元から電車で十分以内の距離なんだから、田舎では無いわ!!
でも、さすがにこれは……。
でもまあ、取り合えず、バス停を探そう。
こう言う駅の近くに有りそうなもんなんだけど……。
見当たん無い。
当然、タクシー乗り場みたいなのも無い。
お金は、一杯持ってるから、タクシーでも良かったんだけどな~。
「あっ、そうだ、それだったら、スマホでタクシー呼んじゃえば良いじゃん♪」
まったく、便利な世の中だよ、現代の世界は♪
文明の利器に感謝だね~♪
って……マジっすか~……電波が入らん!
イマドキ、スマホの電波が入んないって……ここは、マジもんのド田舎ですわ……。
地元の近くってのは、いまいち釈然としないけど。
でも、ここ駅の目の前よね。
ド田舎とは言え、駅前でスマホの圏外って有りえんの?
それともスマホの方が壊れてる?
まあ、どっちにしろ、タクシーは呼べないし、家に電話する事も出来ない、マジ困った~……。
とにかく、もう少し遠くまで散策して、バス停を探そう。
運よく、タクシーとか拾えればラッキーだし、誰か地元の人に聞くって手も有るわ。
取り合えず、駅前のメインストリート?を歩いてみる。
まあ、メインストリートと言うよりは商店街ね。
駅前に伸びる、辛うじて車が二台すれ違える程度の道。
しかも、舗装されて無い。
さすがに、その横に入る様な狭くて暗い路地裏とかは、魔界に通じてそうで勇気が出ない。
ホント、木造の古い建物ばかりね。
狭い道路に路上駐車されてる車も、結構古そう。
って、言っても、デザイン的には、大正の車よりは近代的な感じがする。
でも、かなり錆びてボロっちい。
あっ、この小っこいトラック、タイヤが三つの奴だ……こう言うのってなんて言ったっけ……そうそう、昭和レトロって奴よ。
昭和レトロな街並みが、夕日に照らし出されて、何となくノスタルジックな光景……って、何丁目の夕日っスか!
そもそも、蘆屋小町は大正、小野小町は現代に生きる少女よ。
昭和にノスタルジーを感じる云われは無いわ。
それにしても、人通りが全く無い……。
一応、それでも駅前のメインストリートよ……メッチャ、ド田舎だけど。
それでも、誰か一人ぐらい人が居ても良いじゃん!
しゃぁ無い、チョット勇気出して、どっかお店に入って、聞いてみるか~。
「で、どこ入ろ」
コンビニでも有れば……って、そんなもんの気配は皆無ね。
周りを見渡してみる……お店っぽい建物の上にお米の看板。
紛うこと無く、お米屋さんね。
このお店、結構間口が広いから、比較的入り易そう……まあ、あくまでも比較的にだけど……。
でも、外から見た感じ店内にも人気は無さそうだけど、鍵閉まってるとか?
木枠のガラス戸をスライドさせて見る……開いた。
んじゃ、勇気出して。
「ゴメン下さい」
うーん、反応が無い。
もう一度。
「ゴメンくださ~い!」
やっぱ反応無い。
さらに、もう一回。
「ゴ・メ・ン・く・だ・さ~い!!」
はぁ~……だめだこりゃ。
諦めて、外に。
他のお店に行ってみるか~。
八百屋さんとか、お魚屋さんとか、他にも畳屋さん?みたいなお店にアタックしてみたけど、やっぱダメ。
まったく反応無いし、人っ子一人居ない。
一体何なのよ、この町は!
お店は開けてるのに、誰も居ないって、どういう事よ。
不用心だし、そもそも、仕事する気有んのか……?
あれ?
あのタバコ屋さんの前に有んのはもしかして……。
「やった!公衆電話だ!」
これで、家に電話掛けれるよ~♪
それにしても、この公衆電話も相当レトロねダイヤル式だ……ってか、イマドキ公衆電話自体、滅多に見ないレトロアイテムだけど。
ともかく、家に電話してみる。
この時間お父さんはお仕事だけど、お母さんは居ると思う。
最悪、お姉ちゃんでも良いよ……借りを作るのは嫌だけど、この際仕方が無いわ。
カチャ!
繋がった……え?
「おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確かめの上……」
うそ、間違えた?
もう一回……「おかけになった電話番号は……」、イヤイヤ、もう一回……「おかけに……」……そんなぁ~。
この公衆電話、壊れてる。
一応念の為、タバコ屋さんにも、声を掛けてみるけど、やっぱ誰も居ない。
これは本格的に、次の電車が来るまで、待たされるパターンかも……はぁ~。
商店街は、ほんの百メートルほど。
その先は、道路の左右に、稲の切り株が並んだ田んぼが広がってる。
どうしよう……この先も散策して、バス停探すべきか、それとも、諦めて電車を待つべきか……ん?
野良犬?
商店街の端っこの向こうに、こっちに尻尾を向けて立ってる。
きょうび珍しいわね。
まあ、こんなド田舎ならではって事かな……ん?
いや、違う……あの必要以上にモフモフな尻尾と大きい耳。
もしかして、キツネ?
むこう向いてるから、顔が確認出来ないのは残念だけど、それっぽい気がする。
始めてだよ、野生のキツネ見たの♪
あっ、こっち向いた……え?
何よあれ!?




