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現代の玉藻堂

翌日、今日は敢えて朝ご飯を抜いて来たわ。

今日のミッションは二つ。


一つ、玉藻堂で、二十円札を換金する事。

そしてもう一つは、GETした軍資金で、飽きるほど東京のスイーツを食べまくる事よ!



で……長閑(のどか)な風景を眺めつつ、且つ、昨日ダウンロードしたスマホゲームで時間をつぶしつつ、電車を三回乗り継いで、一時間ちょい掛けて有楽町へ……。

はぁ~、遠い道のりだったわ……。

一応、断わって置くけど、断じて(うち)は田舎じゃ無いから、首都圏は田舎じゃ無いの♪


スマホの地図アプリ片手に、玉藻堂を探す。

アプリのナビに従って歩いて行くと、路地裏の様な処に入って行く。

銀座の表通りは、人通りも多く、賑やかで、華やかだけど、一歩こう言う路地裏に入ると、めっきり人通りが無く成るわね。

ってか、メッチャ場末(ばすえ)感ハンパ無い……。


うーん、大正(むこう)の玉藻堂は、確か表通りに面してた様な気がするんだけど……。

ただ、現代(こっち)の世界は、大正(むこう)と違って、関東大震災を経験しているし、町のレイアウトも変わったって事かな?


暫く、その人通りの殆どない通りを進んでいくと……有ったわ。

なんて言うか……まあ、良く言えば、レトロな雰囲気と言えなくも無いけど……正直、随分(さび)れたビルね……。

しかも、ビルの一階はスナックに成ってる。

で、二階の窓の部分に玉藻堂って書いてある。

それにしても、大正(むこう)の玉藻堂と違って、間口も狭いし、入るのにチョット勇気のいる建物だわね。


スナックの看板の横にビルの二階へ続く階段が……でも、未だ午前中なのに、なんかメッチャ暗い。

これは何、魔界にでも繋がってんのか!


でもまあ、折角、一時間以上電車に揺られてここまで来たんだし、勇気を振り絞って……。

大正(むこう)に在った、芝浦の洋館の地下へ続く階段に比べれば、何て事は無いってもんよ。


狭い階段を昇って行くと、ほど無く二階。

お店と言うより、事務所みたいなアルミサッシのドア。

一応、玉藻堂と書いてある。


因みに、階段はさらに三階へと続いているけど、さらに深い闇に包まれてる……。

まあ、そんな魔界には用は無いわ。


そんで、扉を開けて中に……。

あれ?

意外だ。

結構明るくて、清潔感の有る店内。

で、しかも、確かに間口は狭いけど、結構奥行きが有って、広い作りに成ってる。


入り口付近は、西洋アンティークが並んでる。

奥の方を眺めると、和風の箪笥とか見えるから、向こうは和風のアンティークってことね。


大正(むこう)の玉藻堂は比較的シンプルなデザインで趣味の良いロココ調の家具を中心に、飾って有ったけど、現代(こっち)の玉藻堂のチョイスも悪くない感じね。

よりシンプルなデザインで且つ幾何学的なデザインのテーブルに椅子、花柄の硝子ランプが、通い慣れたカフェみたいで居心地の良い雰囲気……ん?

てか、大正(むこう)で良く見る家具よ。

えーと、何て言ったっけ……そうそう、アール・デコとかアール・ヌーボーとか言うやつよ♪

まあ、大正(むこう)ではアール・デコとか言う言葉は聞いたことが無いから、もっと時代が進んでそう呼ばれる様に成ったんだと思うけど。


でも、不思議な感覚。

現代(こっち)で、大正(むこう)に居る様な感覚に成るって……。


「あっ、ティーカップとかも有るじゃん♪」

キャビネットの一つに、ティーカップが並んでる。

このキャビネットも硝子の扉にアール・デコ風の幾何学模様……でもこの模様、邪魔だ。

開けて見て良いよね……。

「あ、開いた」

鍵掛けて無いって事は、良いって事よね♪


へ~♪結構センス良いの揃えてんじゃん。

蘆屋小町(わたし)だったら、この棚の前で小一時間居られるよ。


ん?

一際(ひときわ)目の引くデザインのティーカップ。

シノワズリって奴ね。

和風の花柄に、猫ちゃんの絵。

チョー可愛い♪


そうね、お金が入ったら、買っても良いかも。

今の私は太っ腹なんよ♪


「で、イクラよ……あうっ!……四十万円っすか……無理っす……」

まあ、二十円札が六十万で売れれば、買えなくも無いけど……やめとこ。

そんな高価なティーカップは、小野小町(わたし)には似合わないって事で……。


さらに奥に進むと、やっぱ和風コーナーね。

大正(むこう)で、お爺様の部屋で見た事が有る様な、箪笥とかテーブルとか……。


そうそう、この箪笥なんかお爺様の部屋に有ったのにそっくり。

漆塗りで、箪笥の四隅に青龍、朱雀、白虎、玄武の四神の(いか)つい彫金が……って、そうじゃ無い!?

この漆の禿げた傷、それに、青龍の彫金に有る凹み……。

そっくりとかじゃ無くて、同じ物だ!


そう言えば、お爺様は、玉藻堂で、よく買い物してた。

多分、この箪笥も大正(むこう)では、お爺様に買われ蘆屋家に。

で、現代(こっち)ではずっと売れ残って飾られたままに成ってるって事かぁ~。


それにしても、来てみるもんよね。

こう言う発見って、新鮮でなんか面白い♪


補足情報:

〇アール・デコ

1966年にパリで開催された博覧会の名前から、そう呼ばれる様に成ったとか。


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