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祠の中身

刀印を構えたまま、周囲の気配を探る。

何かが潜んでいる様な気配は感じられない。

でも、油断は禁物よ!


「にゃー♪」

ん?

ウルタールが足元にすり寄ってきて、私を見上げると、首を横に振る……どう云う事?


うーーん、これはもしかして……。

「ウルタール、もしかして、この魔力の持ち主は此処(ここ)には居ないって事?」

その質問に、ウルタールは「にゃー♪」と返事。

どうやら、その様ね。

ウルタールは、元々戦闘用じゃ無く、索敵や潜入調査に特化した魔法陣から召喚した猫。

だから、ウルタールが傍に敵が居ないというなら、取り合えず安心だわ。


そんで、なんか器用に前足の人差し指?の爪を立て、自身を指さして、ガブッと噛む仕草……?

ん?

何かを伝えようとしてるみたい。


うるたーるが自身を指さして、ガブッと噛む仕草……つまりは……。

「ウルタールがそいつを噛んだって事?」

「にゃー♪にゃー♪」


そうみたい、だけど、でも……一体、いつ何処で……あっ!

「あの猿だ!!」

「にゃー♪にゃー♪にゃー♪」


そう言えば、お姉ちゃんが、昔お爺ちゃんが神社の裏山の西側に祠を建てて、あの猿を祭ってたって……。

じゃあ、この祠がそうって事ね。


一応、警戒しつつ、恐る恐る祠に近付く。

祠の正面にある両開きの扉の中央に封印する様に御札が張られているけど……でも、これって……やっぱりだ。

御札の右側は右側の扉に糊付けされてるけど、御札の左側は糊付けされて無い。


つまり、封印が解かれた状態。

で、その封印を解いたのが、お姉ちゃんって分けね。

後で糊で張っ付けたとか言ってたけど、こう言うのは、ちゃんと魔力を込めて貼り付けないとダメなモンなんよ。

まあ、どうせ、封印は破られてるんだし、(アイツ)はもう退治したし、折角だし……って事で、中を拝ませてもーらおっと♪


それでも慎重に、そっと祠の扉を開いてみると……何も無い。

確か、お姉ちゃんも中を見た時に何も無いって言ってたけど、ホントだ……あのいい加減な姉には珍しく……。


うん?

祠の隅の方に、白い小石みたいなのが。

何だろう?


見た感じ、残留魔力の様なモノは感じるけど、危険は無さそう。

手を伸ばして、手に取ってみる。

牙だ!

と言う事は、これが(ヤツ)の本体だったって分けね。


あの猿は、元々、ああ言う存在として生まれて来たのか、それとも、殺された時の恨みで、ああ成ったのか、それは分から無いし、知った所で今更無意味。

それに、アイツは確実にウルタールが幽世(かくりよ)に送ったわ。

この牙も、あと数日経てば、全ての残留魔力が蒸発して、(ただ)の牙に成る。


だから、本当はもうこの祠に祭る意味は無いんだけど……。

牙を再び祠に戻す。

「まあ、こう言うのは気持ちの問題よね。今度は、迷わず成仏しなよ♪」

で、邪気を払う様に柏手(かしわで)を打つ。

祝詞や九字までは必要ないわ。


ペチッ!ペチッ!と、優弥(ゆうや)くんも真似して柏手(かしわで)


元日、優弥(ゆうや)くんは、此処(ここ)でどんぐりを拾って、あの猿に目を付けられたって分けね。

それもこれも、あのお姉ちゃんが、この封印を解いたからに違いないわ。

やっぱ、諸悪の根源はあの、ぬらりひょんよ!


「さて、どんぐり拾いの続きをしよっか♪」

優弥(ゆうや)くんが、笑顔で大きく頷く。



空が大分、赤く染まって来た。

コンビニの袋はどんぐりで一杯。

まあ、こんだけありゃ、当面は不自由し無いわね♪


此処(ここ)のアラカシの木は、長い時間を掛けて、あの猿の魔力を十分吸収している。

猿が居なくなっても、この木々に宿った魔力は、多分数十年は消えはしない……って事は、毎年取り放題よ♪

必要に成れば、またどんぐりの落ちる季節に取りに来れば良いわ。


ん?

よくよく考えると、此処(ここ)のアラカシの木が、封印が解かれた祠から漏れ出る魔力を吸ったお陰で、このどんぐりが有るのよね……。

それで、このどんぐりを優弥(ゆうや)くんから貰ったお陰で、大正(むこう)でウェンディゴの動きを封じ、トドメを刺せた……。

つまり……蘆屋小町(わたし)大正(むこう)でウェンディゴを倒せたのは、間接的にだけど、お姉ちゃんのお陰って事?!


でも、そのせいで、私も優弥(ゆうや)くんも怖い思いを……。

何か、釈然としないわ!!



夕焼けの中を、再びお散歩気分で家路に着く。

佐竹さん()の前まで来ると、何か良い匂い。

そして、包丁の音。


優弥(ゆうや)くんにお礼を言って、別れを告げると、優弥(ゆうや)くんは再び、塀の上によじ登って、そこに座る。

其処(そこ)が定位置なのね♪

で、包丁の音に合わせて、鼻歌が聞こえてくると、さっきの様に楽しそうに左右に体を揺らす。

ホント、メッチャ可愛い♪



「ただいま~♪」

玄関を開けると、靴が一足。

勿論、お父さんのでも、お母さんのでも無いわ。


リビングを覗くと、お姉ちゃんがソファーに胡坐をかいてテレビを見ながら、膝に高級そうな菓子折りを抱いてる。

そんで、美味しそうな焼き菓子をボリボリと。

因みに、ローテーブルの上にも、さらに菓子折りが三つ積み上げられてる。


「小町おかえり~♪」

ノールックである。

「ただいま、お姉ちゃん」


「小町も食べる?」

勿論、ノールックである。

「要らない。さっき肉まん食べたから。ってか、そんな菓子折り(うち)に有ったっけ?」


「こんな高い菓子折り、(うち)に有る分け無いじゃん。ご近所で貰って来たもんよ♪」

「勝手に持ってきたら泥棒だよ、お姉ちゃん」

「人聞きの悪い事言わないで。ちゃんと言いくるめて、合法的に持って来たやつだから♪」


まったく……だから、どんなコミュ(りょく)よ!


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