スタイリッシュ・カミングアウト(会話劇)
「彼女が欲しい」
「うん」
「9歳でいい」
「なぜ妥協した風に言ったのか。完全にキミの好みじゃないか」
「そんなことはない」
「ほんとうに?」
「本当はもっと年下が好みだ」
「おい」
「6歳がいい」
「ソウデスカ」
「変態を見るような表情はやめてくれ」
「実際変態を見ているのだから、そうなるのも当然では?」
「違う。俺は変態ではない。なぜなら俺も6歳だからだ」
「そう。ところで、わたしも6歳と知っての狼藉か」
「なにを隠そう知っていた」
「知っていて、そう言った。ということは、これは告白と受け取ってよろしいか」
「いやよろしくない」
「なぜに」
「愚問だな。お前は男の子だ。ゆえに彼女にはなれない」
「そうか……ところで、キミは性別的には女の子だ」
「わかっている。その上で言おう。彼女が欲しい。6歳の」
「その言動で、なぜ自分が変態でないと思うのか」
「俺は変態ではない。なぜなら俺は、前世の記憶を持つ6歳児だからだ」
「なんと」
「前世はおっさんだ」
「それが本当なら、まごうことなき変態では」
「変態ではない。なぜならいまの俺は、肉体的には6歳児だからだ」
「おっさんの変態が6歳の変態になっただけでは」
「痛いところを突く」
「突いたのはただの事実だけど……ところで、なにを隠そうわたしにも前世の記憶がある」
「なんと」
「前世は6歳の童女です」
「生まれ変わる前なら恋愛対象だった」
「なぜキミが自分を変態だと認めないのか、真剣にわからない」
「前世と合わせて12年しか生きていないお前が、なぜこうも分別臭いのか、俺もわからない」
「たしかに、キミの年齢は前世と合わせて」
「36歳だ」
「3倍か」
「やめてくれ。素直にツラい」
「お父さんより年上です」
「すこしは容赦してくれ」
「そのわりには幼いけど……こどもおじさんというやつか」
「致命傷を通り越しているので、そこまでにしようじゃないか」
「とはいえ、普通の6歳よりよほど大人びているキミが、なぜそこまで6歳にこだわるのか」
「理由はある」
「聞こう」
「実は前世で初恋の人が、6歳だったのだ」
「なるほど……ところで、わたしも前世で初恋の人が30歳だったのだけれど」
「その30歳は滅びればいいと思う」
「滅びている。滅びて、生まれ変わって、わたしの目の前にいる」
「……まさか。きみだったか」
「わたしだったのだ」
「結婚しよう。来世でお前が女の子に生まれ変わったら」
「今世でも逃さない。絶対にだ」