13、サンドラのプレゼント
「クリスティナ様、お出ししてもよろしいですか?」
サンドラは示し合わせてあったようにクリスティナ様に尋ねた。
「ええ。お出しなさい」
クリスティナ様はちらりと私を見やって答えた。
な、なによ。
プレゼントってろくなもんじゃないでしょ。
いらないわよ、そんなもん。
「例のものをこちらのレイラ嬢にお出ししなさい」
サンドラが給仕に告げると、しばらくして大きなディッシュカバーで隠された皿を手に給仕係が現れた。
クロッシュっていうんだっけ。
銀のボウルのようなフタをした皿だ。
だがやけに長い。
高いといった方がいいのかな。
なにが入ってるの?
ガマガエルとか?
いや高さからいうと、ワニの顔でも入ってそうだ。
まさか危険生物?
やがて給仕が私の前に大きな皿を置いた。
大きなドームで向かいの人の顔が見えないぐらいだ。
「南国帰りのお客様より頂いた貴重な品ですのよ」
サンドラは得意気に言う。
南国ってことはやっぱりワニ?
りんごじゃなさそうね。
りんごなら特訓してきたのに。
「あれがサンドラさまが言ってらした面白い余興ですわね」
「いったい何が入ってるのかしら?」
「あの美しい方はどうなさるかしらね」
「さすがに泣いてしまわれるんではないの?」
サロンの全員の視線が私の前の『物体』に集まっている。
「あなたのためだけに特別にお持ちしたのだから、残さず召し上がってね」
サンドラが言って、皿の両脇にナイフとフォークが用意された。
どうやら食べ物のようだ。
でも分からないわ。
サンドラのことだからワニの顔を食べろなんて言い出すのかもしれない。
もしやこのナイフとフォークでワニを解体するの?
そんなことしたら目玉をわざとあんたに飛ばしてやるわよ。
「さあ、開けてちょうだい」
サンドラの合図で給仕がクロッシュの取っ手をつかんだ。
ゆっくりと持ち上げると、隙間から深緑の物体が見えた。
ウロコ?
大きなウロコ?
蛇? いやもっと太い。
やっぱりワニ? いやもっとウロコが大きい。
ドラゴン?
「きゃ……なに、あれ……」
「生き物?」
徐々に見えてくる『物体』に周りから悲鳴のような声が聞こえてくる。
ぎゃああああ!!
なんなの、なんなの?
動くの? 生きてるの?
さらに持ち上げて給仕が一気に開くと、ウロコの先に想像もしなかったものがついていた。
「きゃああああ!!!」
「なに? いやあああ」
あちこちで悲鳴が上がった。
こ、こ、こりは……。
次話タイトルは「試食」です




