表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

6.新学期は忙しい

四月というのは初まりの月だ。


学生は入学・進級する。社会人としての一歩を踏み出したものも多いだろう。


なにかと忙しくなりがちなこの時期、ご飯を作る時間もないと弁当を買って行ったり、買い忘れた文房具などいろいろな需要が発生する。


とはいえ、俺は深夜帯に働いているため普段とあまり変わりはない。



なんて思っていたのだが……。



「すいませーん、ノートってもう売り切れですか?」


「あっ、すいません。今在庫を確認しますので。」


「先輩、ノートはもう在庫無いです。



とか



「すいませーん、鮭おにぎりって売り切れですか?」


「お客様、見ればわかるのでは?」



とか




「コピー機使えないんですけど、インク切れですか?」


「いや、使い方が間違ってますね。」


とか!


異常なくらい忙しい。


とても俺と笹森だけじゃ手が回らない。俺が一人でやってた時と変わらないくらい仕事量が増えてた。


笹森の失言をフォローする余裕すらない。


原因は簡単だ、異世界でも新学期が始まったからだ。


どうやら今年から魔王が作った学校で教育方針が変わったらしく、剣や魔法より学力を重視し始めたらしい。


魔王いわく


「武力のある者は死んでも何も残らない、しかし偉大な賢者は死んでもなお、その知識は残り続ける。」


らしい。


たいそう立派な考えだ。でもこっちからしてみれば迷惑な話でしかない。



急に教育方針が変わったため、ペンやノートなどの需要が物凄く上がったのだ。



俺たちはバイトなのでどれだけ売り上げが良かろうと別に給料には直結しない。


仕事量が増えた分俺たちの体力は日々削られていく。


失言は多いが基本的に穏やかな笹森ですら


「勇者を魔王城にけしかければ武力の大切さを再認識される筈。そうすれば客は減るのでは?」


とか物騒なことを言いはじめるぐらいだ。



そんな時ーーーー



ポロロンポロローン



「店員さーん、勇者の盾の発送手続きお願いしまーす。」



勇者が来店した。



この前聖剣を売ったばっかりなのに盾まで売っていいのか?


とは思ったがたかがコンビニの店員が口を出していいことではない。


なにか事情があるかもしれな……


「お客様、勇者の盾を売るとは何事ですか?」


口はさむんかい!


笹森が勇者にちょっと強めの口調で話す。


「勇者の盾を持っているということはお客様は勇者ですよね? 」


「まあ、そうだけど……。」


勇者も答える。


「盾を売るということは魔王と戦う気がないということですか?」


「いや、そういうわけじゃ。今はネットの時代だし掲示板で決着つけようかなーって。」


笹森は口調を緩めない。


「それは貴方でなくてもいいのでは?ネットなら誰でも書き込めますよ。」


「そ、それは……。」


勇者は痛いところをつかれた、という顔だ。


ここで笹森が追い打ちをかける。


「いいですか、勇者様。貴方は選ばれたんです。ならば貴方にしか出来ないやり方で魔王を倒さなければ選ばれた意味がないのでは?」



「俺にしか出来ないやり方?」



「ええ、例えば魔王を直接倒すとか。」



勇者は考え込む。そしてーーーー


「そうだよな。 俺は楽な道に逃げてただけかもしれないな。悪いが盾の発送手続きは中止だ。ちょっくら魔王倒しに行ってくる。」


そう言って帰っていった。



「笹森、お客様をけしかけるのはやめようね。」


「これから気をつけます。」




ちなみに、勇者が魔王城に突撃した結果、魔王の教育方針は元に戻ることになった。


しかしそれは来年からのお話なので重労働が無くなることは無かった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ