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2.深夜は大変

俺は大学とコンビニのバイトを両立させるため深夜に働いている。


深夜のバイトは楽だと思う人も多いだろう。たしかに深夜帯には来客は減る。でもその分昼には出来ない仕事をするため結果的には仕事は増えるのだ。


例えば、店内の掃除もポリッシャーと呼ばれる機械を使ってやるし、唐揚げなどを作るための調理器具の洗浄、肉まんなどの入った棚の洗浄、とにかく面倒くさい仕事はこの時間に回ってくるのだ。


もちろん、その分時給は高めだし仕事量が多い事への不満はなかったのだが……


異世界からのお客様が増えたせいで深夜の仕事量は給料に見合わないほど増えている。


面倒くさい仕事➕面倒くさい客のコンボでいつもクタクタだ。


ほら、噂をすればーーーー


ポロロンポロローン


面倒くさいお客様だ。


自分の頭を持った首のない人が入ってくる。


あれはデュラハンとかいう奴か?


なんか文房具コーナーをじっと見つめてるな。


「すいませーん、店員さーん。」


あっ、呼ばれた。嫌だけど行くしかないか……。


「どうなさいましたか? お客様。」


「えーと、いま接着剤探してたんですけど、接着アルファとベータ、どっちがおすすめですかね?」


「アルファはしっかり固まる分時間がかかります、その逆でベータはすぐにくっつきますが接着力は余り強くないですね。お客様様の用途によります。」


「用途? いや、首をくっつけたくて。」


アホか。 首が接着剤ごときでくっつく訳ねーだろ。


「やっぱりアルファかな、接着力を重視したいよね。」


アルファでもベータでも一緒だよ。


接着剤の用途に人体をくっつけるなんてのは存在しないんだよ。


「お客様、多分首をくっつけるなら接着剤はあまりむいてないかと……、やはりちゃんとした医療機関で処置していただいた方がいいのでは?」


「あー、無理無理。病院ではもう手遅れって言われたんだよね。だから最後の手段でここに来たんだ。」


なんでコンビニが最後の手段なんだよ。奥の手頼りなさ過ぎるだろ。


「とりあえず両方買うよ、どっちも試してみる。」


「さ、左様でございますか。ではレジまでお持ちしましょうか?」


「その前にもう一つ、ガムテープとセロハンテープってどっちがおすすめ?」


もういいわ!


結局、デュラハンは接着剤二種類、テープも二種類買っていった。


やはり異世界からの客の対応はとても疲れる。基本的な考え方がこちらの世界と違い過ぎるのだ。


しかも外国人とは違い、人間とは別の種族なので彼らの常識は予想の斜め上どころか虚数空間に存在する。つまりよくわからんって事。


この前なんか、火の妖精(ファイヤースピリット)が花火を買おうとして引火、店内でロケット花火が乱射されたからな。


それ以来、花火は燃えてない種族にしか売らないよう注意するようになった。


普通ならする必要のない心配をしなきゃいけないからとにかく気苦労が絶えない。


本当に割に合わない仕事になったもんだ。


そういえばもう一つ、深夜のコンビニは治安が悪いということをご存知だろうか。


万引きなどは昼でも起こるが強盗などは別

大半は深夜に起こる。


まあ、当然といえば当然のことだ。人目が少ないからな。


そういう訳で深夜は基本的に二人以上がシフトに入るのが常識だ。


しかし、一週間前に俺と同じ時間帯にシフトを入れていた橋本さんが辞めたため今週は俺一人で働いている。


正直、死にそうだ。


いや、過労とかじゃなくて、一応代わりの人が来るまで給料は二人分貰ってるし。


死にそうというのは物理的にだ。


別々の種族同士がばったり鉢合わせして、例えばオークとエルフだ。


会った瞬間、死闘を繰り広げやがった。


エルフがやられて


「くっ、殺せ!」


とか言ってたけど冗談じゃない。


コンビニが真っ赤に染まっていいのはクリスマスだけだ。


興奮状態のオークと瀕死のエルフをなんとか説得して帰ってもらった。


オークがバイ○グラを大量に購入していったのは忘れることにしよう。


あっ、でもオークが恵まれない子への募金をしたのはびっくりしたな。あれだよ、ヤンキーが優しいとギャップでかっこよく見える理論だよ。エルフもそれ見てちょっと見直したって顔してた。


とにかく、話がちょっと逸れたが、俺は精神、肉体共に限界に達しそうだった。


だがそれも今日までの辛抱、明日からやっと新しくバイトに入ってくれる人が見つかったらしい。


店長からの連絡によるとバイト経験は豊富らしいから今日を乗り切ればーーーー


ピロロンピロローン


うん、わかってたよ。


今日を乗り切ればってセリフがフラグだった事ぐらい。


「すいません、店員さん。魔剣グラムの発送手続きお願いします。」


よりによって魔王が来店しやがった。


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