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第3話:帝国への道

アグルス国を出て早数時間が経過した。

馬の足音や4輪の馬車の音など様々な音が聞こえてくる。

この世界に来て乗り物での移動は今回が初めてだ。

揺られているだけで景色はあっという間に過ぎ去っていく。

未だに重たい空気が流れている馬車。


そんな時、馬車が急停車したのだ。

「おっと!」

ジンはこういう乗り物ではよくある事なのかと全く動じなかったのだが、正面に座っているネヴァエー陛下は違った。

「何事ですか!?」

ネヴァエーは馬車から身を乗り出して確認した。


すると、外から帝国軍と思われる男性が大声で叫びだした。

「敵襲!!敵襲!!」


ジンも窓を覗き、辺りを確認すると敵が周囲を囲っていることが容易に理解できた。

敵の数は30人から40人程度とかなり多い。


「お兄様、ヒカリ様はここでお待ちください。ジェンナ。お兄様をお願いします。ここはわたくしが」

「は!」

そう言ってネヴァエーは馬車を降りていった。


「おい!貴様等、荷物全部ここに置いていけ」

「大人しくしていれば命だけは取らねえからよ」

「はやくしろ!」

辺りを囲っているのはどうやら盗賊の様だ。

男たちが目を光らせながらゲラゲラと笑っている。


「あなたたち!」

ネヴァエーが声を発したことで盗賊の視線は全てネヴァエーに向けられた。

盗賊たちはネヴァエーを見た瞬間、顔色が変わった。

『―ッ!?』

盗賊たちは目の前の状況を理解することができず、声も出ないといった様子だ。

「一体誰に向かって言っているのかしら?」

盗賊に追い打ちをかけるように少し笑みを浮かべながら言葉を発するネヴァエー。

「なん・・・だと!?白の双色者!・・・ってことは」

「オージン帝国の皇帝だと!?」

「何!?あの、黒の剣の所持者だと!」

周囲のあちらこちらから盗賊たちの困惑した声が聞こえてくる。

自分たちが狙った、否、狙ってしまった相手が世界の頂点に立つ人物だとは思いもしなかっただろう。

きっと、後悔しているに違いない。


「いいえ、わたくしではありません。こちらにおられる方です」

ネヴァエーはそう言いながらジンを紹介するように掌をこちらに向けてきた。

この一言でネヴァエーに集められていた視線は全てジンに向けられた。


『―!!?』

ジンを確認した盗賊たちはネヴァエーを見つけた時以上に驚愕しているのが分かった。

目を大きく見開いて、開いた口がふさがることがなかった。


「黒の双色者!?」

「白の剣の所持者がなぜここに!?」

「新たな皇帝・・・だと!?」

どうやら盗賊たちにもジンの噂が流れていたようで白の剣の所持者だということも新たな皇帝となることも知っていた。


「そう。こちらにおられる方はオージン帝国第100代目皇帝となるジン・シネエベル・レシア・ノヴ・オージン陛下にあらせられる!大人しく投降しなさい!」

現皇帝陛下の言葉に盗賊たちは凍りつく。この場にいるのは現皇帝陛下のさらに上の立場となる人物。ジンも突然のことで固まっている。


盗賊たちは今にも投降しそうな雰囲気だったのだが、ある男の一言で空気が変わってしまった。

「怯むな!こうなれば投降したとしても死刑だ!どうせなら戦うぞ!」

『おぉ!!!』

盗賊は開き直り、剣を一斉に構えだした。


「愚か者。こうなれば“ツラウドット”」

ネヴァエーは残念だと言わんばかりな表情を浮かべ、黒の剣の名を呼んだ。

すると空気中に無数の黒い光が現れた。黒の光は徐々にネヴァエーの手元に集まり、一瞬にして黒の剣が現れた。

「神業・・・〈漆黒冥府(ペルセポネ)〉」

ネヴァエーは神業の名を口にすると体をグルっと1周しながら剣を振るった。

剣が回った場所には360度の円を描いた真っ黒い(もや)が浮かんだ。

刹那、靄は波紋が広がるように広がっていった。

この場にいるみんなに靄が直撃した。


『うわぁー!』

『何だ!?』

『前が見えない!?』

『真っ暗だ!』


みんなに当たったはずの靄だが、不思議な事に声を上げだしたのは盗賊たちだけだった。

ネヴァエーはすかさず味方の兵士に確保するように命令を下した。

「確保!」


『はっ!』


ジンは今見た神業がどのような業なのかが気になった。

「先程の神業は?」

漆黒冥府(ペルセポネ)。敵意を持った敵の視界を真っ暗にする業です。相手を傷つけることなく、戦闘不能へ追い込むことができます」

「そんなことができるんだ」

つまり黒の剣は瞬時に敵か味方かを見分けることができるということだろう。

素直に感心する。

「お兄様の剣はどのようなことができるのですか?」

「この白の剣は物凄い速度で相手に向かって斬りかかる光風一陣(ディオニュソス)。それと、上空から雷が降り注ぐ光輝雷神(ゼウス)という神業が使えます」

ジンがそう説明するとネヴァエーは驚いた顔をした。

「なんと素晴らしいのでしょう。しかし、白の剣はまだ目を覚ましたばかり。きっと、まだまだ本調子ではないのでしょう。完全に目を覚ます時がいずれ来るのでしょう」

「黒の剣は完全に覚醒した状態なの?」

「いいえ、それは分かりかねますが、この剣はあと2つ神業が使えるのです」

ネヴァエーは合計で3つの神業を使うことができるようだ。ジンは今の所2つの神業が使えるのでまだ眠っている業があるのかもしれない。

ジンはネヴァエーが他にどのような神業を使うことができるのか気になった為、質問しようとしたのだが味方兵士がネヴァエーに声をかけてきたのでそれは叶わなかった。


「陛下!確保した盗賊たちはどうされますか?」

「本日寝泊りする次のウスタママー国まで連れて行きましょう。後のことはウスタママー国に任せます」

「畏まりました」

陛下と兵士の話を聞いていたジンはまた知らない国名が出てきたと天を仰いだ。


「さて、先を目指しましょう」

ネヴァエーの指示で帝国への旅は再開した。


それから間もなくして本日寝泊りするウスタママーという国に到着するのだった。


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