第21話:【逃亡】
―ヒカリ―
逃げる。逃げる。どこまでも逃げる。
必死な思いをして私たちはなんとか国から脱出することができた。
「ジン!しっかりしてください!」
今、私たちは国からすぐ近くの山に入って身を隠していた。
私は今も意識が戻らないジンに何度も声を掛けていた。
「ジン!ジン!・・・ケデア、どうしよう!私、どうしたらいいんですか?」
「気を失っているだけだから大丈夫。安静にしていればいずれ目を覚ますはず」
私はこのままジンが目を覚まさないのではないかと不安で仕方なかった。
「ごめぇんなさぁい!私のせいで」
先程からハナは泣きながら意識のないジンに何度も謝っている。
「ハナのせいじゃないよ」
ケデアが一生懸命説得するが、ハナは聞く耳を持たない。
「・・・守れなかった」
ヒナタがぼそっと呟いた。
何も出来なかったことに悔しく思っていた。
「みんな、落ち着いて!」
ケデアが強い口調で言うも誰も聞いていない。
みんな自分1人の世界に入ってしまっている。
「ヒカリィ!!」
ケデアは私の肩をつかんで大声をだして言った。
「貴女まで冷静さを失ってどうするの!?しっかりしなさい!!貴女、お姫様なんでしょ?本来なら貴女が一番みんなの見本にならなくちゃいけないんじゃないの!?貴女が一番・・・」
「・・・!?」
ケデアの言の葉で私はようやく冷静になった。
「私、私・・・」
私は汚れた両手を見つめた。
私は誰?私はエマであり、ヒカリ
イラキ国の第一王女よ
私がしっかりしないと
私は白いワンピースのスカート部分を破り切った。
それをジンの頭に巻き付けた。
ジンの顔は真っ赤に腫れていて見ていて痛々しかった。
「休んでいる時間はありません。早くここから逃げましょう」
「わかった」
「うん」
「はい」
ジンに変わり、私がみんなを引っ張っていくことを決意し、みんなにここから逃ようと話した。
「私がジンを運びます」
「大丈夫?私が運ぶよ」
「いいえ、私に任せてください」
「わかった。その代わり苦しくなったら言ってね。私が代わるから」
私はジンを背負うとみんなで山の中を再び歩み出した。
ごめんなさい。
ジン。
いつも助けられてばかりで、何もしてあげられなくて本当にごめんなさい。
また貴方に救われました。
危うく貴方を失ってしまうところでした。
ごめんなさい。
本当なら私はここにいない。
もうすでに2度は死んでいるでしょう。
貴方を守れるなら命なんていらないと思っていたのに何も出来なかった。
体が恐怖で動かなかった。
情けない話ですね。
ジンだって怖かったはずなのに守ってくれたというのに。
必死に助けてくれた。
次こそは私の番。
私が必ず貴方を守ってみせる。
救ってみせる。
だから、待っていて。
見ていて。
私は必ず貴方を導く光になってみせるから。
暗い道でも先が見えるように照らしてみせるから。
ジン。
いつも傍にいてくれてありがとう。
いつも守ってくれてありがとう。
これからは私が貴方の支えになりたい。
これからも貴方の傍にいたい。
これからも貴方の隣にいたい。
なぜなら、私はジンのことが好きなのだから。
この度は、「死恐怖症〈タナトフォビア〉の皇帝と神話の剣」をお読みいただき誠にありがとうございます。
これにて第一章を終わります。
拙い文章で大変申し訳ございませんでした。
今後も書き続けていく自信はありません。
しかし、できる限り努力していく所存です。
今後ともよろしくお願いいたします。
次回から 第二章:覚醒 に入ります。




