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Aクラス

入学式になんとか間に合った俺と真城ちゃんはそのあとに割り当てられた広く真新しい教室で隣の席に座って話し合っていた。

「いやー、同じクラスで良かったね真城ちゃん!」

「どこかで双子は同じクラスに割り当てられないって聞いたんですけどガセだったみたいですねー。」

「まぁ、双子といっても―――」


「こんちにはー。」

教室の前の扉が開きわりかし若いめの女性がノートパソコンを持って入ってくる。

どうやら、ここの担任となる先生のようだ。

「はじめまして。これからAクラスを担当します、先生の如月親子と言います。」

そう言い、電子黒板に如月親子きさらぎ ちかこと書く。

「皆さんとは三年間仲良くしたいので、どうぞよろしくお願いします!」

「「はーい。」」

年代もそれほど離れていなく愛嬌もあり親しみやすい先生のようだ。

如月先生はノートパソコンを机の上に置くと一息ついた。

「それでは、皆さんの事をよく知りたいので自己紹介をしていってもらい―――」

『自己紹介』という言葉を聞くと俺と真城ちゃんは目を合わせた。

そう、俺達は苦手なのだ。人前で話すということは。

それを察したかのように如月先生が

「と、言いたいところですが皆も入学式でお疲れだと思うのでまたの機会にしましょう。」

察しが良いところがますます、仲良くしたくなる先生だなーとホッとした。

「えーとでは、皆さんにはこのクラスに割り当てられた理由を説明しますね。」

突然、教室の生徒がざわめき始めた。

クラスに割り当てられた理由?そんなもんは、入学前の筆記試験で出た点数を平均的にして配分しただけだろ?

「このクラス全員が前の世界で消えてなくなった天国に未練がない・・・即ち、誰も自殺をせずに生き抜こうとした人達です。」

前の世界。そう如月先生が言うと、クラス中の視線が俺に向けられた。

誰も入学式で声をかけなかったわけだ。俺は半分殺されるか殺すかの覚悟で臨んでいたってのにな。

「そう、ここAクラスは全世界で天国に目もくれず生き抜くために戦い、志半ばで力尽きました。しかし、世界はまた天国が出来るより以前に巻き戻され時が経っても天国の存在は確認されないようになりました。」

「それは、そう―――」

如月先生がゆっくりと俺に指を向けた。

「本名かどうかも分からない「ジョン」率いる団体「少数派」によって。」

どこかで拍手の音が聞こえる。

チラリと見ると一人は真城ちゃん。

もう一人が窓際に座っている日本人ではないであろうブロンドの外国人。

あのー、っと俺が手を上げてなにか言おうとした時に如月先生により遮られる。

「この世の中で一番欲しい人材は『目の前にそれは、天国のようなおいしい話があろうと自分の道を行く』人なのです。つまり、このAクラスに割り当てられた時点で進学率、就職率が100%なのをお約束します。」

また、ざわめき始める。

確かに噂には高いと聞いていたが『100%』?いくらなんでも可笑しすぎる話だ。

この学校はできたばかりで実績なんてありはしない。

ここを受けたのはあくまで能力の才能があったからってだけの理由だ。

「この学校は表向きはある意味、能力が発現した人のための隔離学校のようなものです。しかし、裏では国がお金をかけて優秀な人材を育てることが目的です。」

なるほど。国が力を入れているのか。通りで見かけや内装が豪華なはずだ。

「先生!なら公務員にもなれるんですか?」

考え込んでいると誰かが質問した。

「はい。国の仕事なら公務員でも国家公務員にも試験はなしで通っちゃいます。ほかの企業も国の力でなんとでも言わせちゃいます。」

・・・驚いた話だ。しかし、ここまでしてくれるなら当然―――

「皆さんはここで学力向上、能力強化の他にあることをしてもらいます。」

それは当然、他人の人生を変えてしまうほどの後ろ楯をつけることになるのだから―――

「皆には学力以外に強さの実力を示してもらう必要があります。他のクラスには負けない強さがある貴方達に。」

俺達は戦っていた。天国なんてクソッタレな世界に逝かず、ただこの世界に挑戦してみたかった。

だから、天国に逝かせようとするお迎えの団体・・・俺の知るところでは、「天国教」と死闘を繰り広げた。

そうしていくうちに、力は、能力は強化されていきなんとか生き続けてきた。

どうやらその『結果』を国は欲しいようだ。

ゆとり世代は終わりを告げ、さとり世代へと交代したいのだ。

「詳しいことは後日、お話しします。今日はこれまでにしましょう。あ、皆さんのお手持ちのスマホにメッセージを送りましたので必ず見るようにしてくださいね。大事なことですから。」

では、と手を振りながら足はやに教室を出る如月先生。

気不味い雰囲気が流れる。

学力ではなく、強さの実力を示す?どうやってだ?

とりあえずは如月先生が言っていたメッセージとやらを確認すると理解してしまった。

「Aクラス・・・天国へ逝かずに最後まで戦った人達。進学率、就職率100%

準Aクラス・・・天国へ逝かずに戦ったが、途中で自決してしまった人達。

Bクラス・・・生き残りを殺すために能力で殺し続けた人達。

Cクラス・・・能力があったにも関わらず真っ先に天国へ逝くために自殺した人達。

Dクラス・・・そのどれにも属さない能力者。

一ヶ月に一回、クラスの代表ともう一人で二名のタッグで戦い、優劣をつけます。

タッグが優勝すれば、代表が選んだ一名がAクラスに昇格します。

負ければタッグは同じタッグを二度と組めません。

降格などはありません。

頑張って下さいね。」

これは、俺達を計る物差しだったようだ。

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