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その後何回か王子との逢瀬に付き合ってやった。
そして徐々に王子の人となりも理解できるようになった。
説明するのが面倒臭いから前世の記憶で似たような奴を例として上げるなら“前線知らずのボンボンの上官”だった。
指示は滅茶苦茶だし、我が儘ばかりだし、自分のミスを平気で擦り付けてくるし、能書きは垂れまくるし、とにかく最悪な奴だった。
知ってる? 戦場で指揮官がそんな奴だと前から放たれる銃弾じゃなくて後ろから放たれる銃弾で死ぬの。
だから私は分かったのだ。
“絶対に別れてやろう”
そう考えると早速策を練る。 だが私はこう言った細やかな策は苦手である。
前世も作戦とかは現場で決めてたし、その場の臨機応変で戦ってたりしていた。
基本周りにいる奴等が私に合わせてたし、人生の後半らへんに上官になったおっさんは私に『~~攻めて落としてこい』位しか指示しなかった。
酒ばっかり飲んでたけど私が初めて尊敬できる年上の上官だったから私は頷いて言う通りにしてたけど。
『…ディア嬢はどう思うかな?』
突然話し掛けられ我に返ると王子の瞳が視界に入る。
男娼だったら相手にしてやっても良かったが、今は発情してないので視界に入るのはとても不愉快である。
『すいません。 殿下に見とれてまして…』
必殺見とれてましては確実に殿下の満足する反応である。
頬を赤く染めて恥ずかしそうに視線を反らせば効果は抜群だ。
私は彼と出会って演技力が格段に上がった。
◇
王妃教育の苦労は最初だけだった。
様々な事を勉強するのだが、物覚えは良かったからすぐに教育係に太鼓判を押された。
えっ? さっきは細やかな策をするのが苦手な脳筋だったじゃねーか!!だって?
考えるのは嫌いだけど覚えるのは得意なんだよ。
敵の新型兵器とか使い方を盗み見してから奪って使ってたし、戦車とか盗んで逃げる時とか他の外国語が使われてたから必然的に覚えてたし、そもそも作戦も練ろうと思えば練れる。
ただ戦争大好きっ子な私はそれでは満足できない。
どちらかと言うと負け戦とか撤退戦、あとは困難な作戦とかに燃えるのでよく命令無視して単体で残ったり突っ込んだりしていた。
流石に周囲を包囲された時は死を覚悟したが、あれは特に楽しかった。
とりあえず王妃教育はほぼ終了し、時間に余裕が出来た私は信頼の置ける侍女をお供に付けて街に出掛けるようになった。
高い買い物はしないから両親はとやかく言わなかったのでこれ幸いにと様々な場所へ繰り出した。
侍女のサラーシャは私の狂気じみた性格を知っていた。
というのもサラーシャは隣国から送り込まれた密偵だったのを私が13歳の頃に庭へ侵入してきたのを無理矢理捩じ伏せた。
うん強かったー。 独特な戦い方とナイフ捌きは前世の私が戦った中でも比類する相手がいなかった。
久々に強敵と戦えた私は大変満足し、そして昂った体を彼女にぶつけた。
言っておくが私は両刀だ。 満足できれば女とだってする。
夜中だった為、静かに自室へと運び入れた私は彼女を拷問代わりに責め立てた。
歯向かってはきたが、しばらくすると良い声で鳴くので久々に寝不足になる位まで交わった。
あとは私がいないとダメな体に仕上げるまで使われていないクローゼットの後ろにある隠し部屋を使って監禁した。
堕ちたのは一週間後位だったか? その後は私の忠実な下僕として侍女に居座り、私も気を使う必要がないので彼女を大いに利用した。
「今日は職人街を歩こう」
「分かりました」
サラーシャに命令すると彼女は御者に指示して入り口に停めさせた。
私は事前に服を動かしやすいワンピースにしていた。
前世では女らしい服を着た事がなく足元が涼しいのは抵抗があったが今では慣れたものである。
今日の目的は社会科見学をしに来た訳ではない。
私はとある物を手に入れる為にここへやって来たのだ。
来るべき日に備える為に…。
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