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すいません木下ですけど(この話)まだ掛かりそうですかねぇ?
一人の男が私の前に出てきた。
見た目は年老いた男だが、剣を構えた姿は今までの王国騎士の中では熟練の域に達している。
恐らく隊長格だろうと判断すると男は口を開いた。
「…小娘、相手になってやろう」
「ほほう…」
相手はあくまで強気の姿勢を崩さない。
はっきり言えば熟練の域に達したといえど今の私に敵うとは思っていないだろう。
表情の険しさからそれを読み取ると私は笑みを溢しながら先程受け止めた小銃を横に構え銃剣を相手に向けた。
「相手になってやるのは私だ。 お前がどれだけ私を楽しませてくれるか見せてくれ」
「…貴様ぁ!!」
私がにやけて挑発すると、男はすぐさま突進してきた。
しかし動きに無駄はなく、私は小銃の銃床で受け止めてはいなし、銃剣で突いたり斬り上げたりして応戦する。
私の銃剣は対人近接戦闘戦を想定していたのでかなり頑丈に作られている。
ちょっとやそっとでは壊れる柔な代物ではないし、突きが主な攻撃手段になる銃剣を斬る事も出来るようにしたのはそれも近接戦を想定したからである。
「ぐっ!!」
何度か掠めたのだが、すんでの所で避けられてしまう。
今までの奴よりは何倍も実力があると再度確認出来ると歓喜がより内部に沸き上がる。
傷が男に付く度にまだ死ぬな、まだ倒れるなよと心の中で呟きながら銃剣のみならず足技もプラスして痛め付けた。
彼が倒れたのはおよそ10分後だった。
「かはっ…!!」
胸を銃剣で突かれそのままよろよろと倒れていくのを確認し、仰向けになったのを足でひっくり返す。
「はぁはぁ…嬢ちゃん強いな。 どうしたらそこまで強くなれるんだ?」
男は息を荒くさせながら聞いてきた。
どうやら私の強さに疑問を持っているらしい。
「…私を楽しませてくれた礼だ。 教えてやるよ」
私は男に近づいて耳元で囁く。
「竜は産まれた頃から絶対の強者だ。 私とお前では産まれた時から雲泥の差がある」
「………」
男は私の言葉を聞いて苦々しい表情を浮かべて黙っていた。
だが私が次に口を開くと驚いた後、笑った。
「だがお前は他の騎士の誰よりも強かった。 お前がもし戦場で仲間だったら背中を預けてもいいだろう」
「…はっ、殺しに来た相手に言う事かね?」
「…そうだな」
男は私の言葉にケラケラと笑いながら弱々しくも明るく笑った。
私もおかしい事を話すものだと思いながら立ち上がり、銃口を向ける。
「願わくは来世の戦場にてまた会おう」
「…来世は来るかね」
「来るさ。 私もそうしてここにいる」
男の質問に答えると同時に私は引き金を引いた。
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