陽だまりの中で
イラスト:秋原かざやさま ( http://8916.mitemin.net/ )
指定ジャンル・必須要素:なし (とある屋敷の屋根裏部屋。ひっそりと絵画がある雰囲気)
→→ ジャンル:詩
この作品は370字となっております。
古びた厚い表紙を開く
くすんだ色、ほつれた角
陽の光が床に模様を描いて
その欠片が冷えた足を暖める
捲ったページからは埃の臭いと
懐かしいあの日の音がした
繰り返し見つめて 幾度となく声にして
瞼を下ろしても分かるのは
それだけ愛した日々があるから
踊るように笑い もがくように泣く
その姿に自身を重ねたから
物語は終わり また何度も始められるけれど
そんなに上手くはいかない
もう本の中に世界はない
けれどこの場所に戻る度
またここから始まる気がするから
気付けばかさつくこの感触を求めてる
消えてく光 埋めた隙間
見下ろす微笑みに影が差す
こうしてまた今日が終わり
こことは違う場所で明日が始まる
明日が幸せであれば、なんて
祈ることすら煩わしいけれど
せめて明日もこの部屋に
光が差すよう微笑みを返す
いってきます
呟いた声が 部屋の中を転がって
いってらっしゃい
誰かの声に 促されるように扉を閉じた
秋原かざやさま、ありがとうございました。
少しは明るくなった、かな?
イラストの雰囲気が、窓から陽が差しているようなイメージと穏やかな懐かしさがあったので合わせてみました。
屋根裏部屋と絵画、と来ると絵本を連想してしまう私は特殊でしょうか?