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プロローグはみずから世界を語らない
一人の少女がプラットホームに降り立つ。
その小さな背中の後ろでドアが静かに閉まった。
電車は行ってしまう。
少女はどこから来たのか。
どこに向かうのだろうか。
それはきっと少女にしか分からない。
後ろを振り返れば一本の道ができている。
少女が歩いてきた道だ。
前を向けば無数の選択肢が散らばっている。
どれを選んでも正解。
少女の進む道だ。
その道の先にはどんな出会いが待っているのか。
どんな未来が待っているのか。
どんな世界が待っているのか。
それは少女にさえも分からない。