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5.理由を聞きました?



「お前さんはあの時の・・・・・?」


「お久しぶりです。俺を覚えていてくれて光栄です。」


「いったい何の用でこんな森の中まで来られたのじゃ?」


「前に町で助けていただいたお礼をと思い、あの後近くにいた店の方にあなたのことを教えていただきました。しばらくいろいろとあってなかなか行くことができずにすみません。」


「礼などいらんというたはずじゃ、見たところ一人のようだがもしや一人で森の中に入ってきたのか?」


「いえ、一緒に護衛も来ていたのですがもうすぐここに着くと思うと待ちきれずそのままおいてきました。」


キラキラとした笑顔で悪げもなく微笑みながら少年は言った。

子どもが一人で入るには危険な森だけど一緒にきた護衛の人をおいてきたってそれはいかんでしょう!?

僕と同じことを思っているのかセル爺も呆れたような顔をしていた。

本人いわく町の外は初めてで探検ではなくちょっとした冒険気分ということもあって一人でさっさと行ってしまったということらしい。荷物も護衛の人が持っているのでもうすぐしたらここにたどり着くだろうと言っていた。

確かに森の湖すぐ近くに小屋を建てているので町からこの場所までの地図はあるし、そこまで迷うほどの道でもないので方向音痴でない限りほぼ真っ直ぐに進めば湖にたどり着く。この森に生息する魔獣は奥まった場所に行かない限りそこまで強くないこともあり、初心の冒険者たちのちょっとした魔獣と戦うための訓練場みたいになっていたりする。




「それでもあの時、命を救われただけでなく盗まれたものはとても大事なものでしたのでどうしてもお礼をしたかったのです。」


「礼なら気持ちだけで十分じゃ。護衛の者が来たら帰られるがよい。あまり暗くなると危険じゃからな。」



どういった背景で何があったのか詳しくは会話からあまり伺うことはできないが僕は無言で二人のやり取りを見守っていた。するといきなりガラガラという音が響き始めた。

音の方に顔を向けると台車を引いた男が現れた。しかも後ろから台車を押して運ぶのを手伝っている男も一緒にこちらの視界に入るくらいまで台車を引いたら、その場で止まった。

そしてこちら側を向くなりいきなり情けない声を上げた。


「ひどいですよ。俺たちをおいて一人行くなんて~~~。シルヴェスト様に何かあったら俺は・・・俺は~~~~」


初っ端から泣きそうになっていた。これが護衛ですか。この泣きそうになっている護衛その①は黒髪に短髪で顔は整っていてワイルド系のイケメンだがこの泣きそうな顔で台無しである。もしかしてこれはいわゆる女性からしたら母性がくすぐられるとかほっとけないとかのギャップ萌でモテるというやつだろうか。


「お前たちが遅いから待ちきれず、つい先に行ってしまっただけだ。」


「しかし、まだあなたにとっては危険でもありますのでこういうことは次からはやめて下さいね。」


台車を後ろから押していた護衛その②がいさめるように優しく言ってきた。この護衛その②はその①はまた違って一つ一つの動作に気品のある紳士風とした柔和な笑顔を浮かべた美人系イケメン。今はその顔に若干影が差しているが原因は言われるまでもなくそこに居る少年のせいであろう。


「わかった。だが、すまないと思うが反省はしていない。」


いや、お前は反省した方がいい。こんな重そうな何が入っているのかわからない重そうな積み荷をのせた台車をひてくれているのにおいて行って、心配かけているという自覚がないのか!

これだから甘やかされて育った世間知らずの坊ちゃんは!!

とチキンな僕は心の中でのみツッコミ批判した。


そういうことを思っていると何故か視線を感じたのでそちらに目を向けたら少年と目があってにっこり微笑まれた。


僕は何か粗相をしたかしら。いや、何もしていないししゃべってもいないのに何故僕の方を見ているのだろうか??

う~~む何故こっちをずっと見ているのだろうか・・・・・。なんか怖いですね。誰でもいいので早くさっきから僕に向けている視線をどうにかしてほしいです。




そっと心の中で虚しく呟いただけで終わってしまいました・・・・・・・。






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