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―R2―  作者: 真涼
5/6

第三幕1部「世界で一番怖いのは、唐突に言われる命令だと思う人、手を挙げてー! ……意外と少ないなぁ」

申し訳ありません。今回は少し短めです。というのも、いろいろとあって書く時間がなかったというか、受験勉強忙しいというか……。


「さー。とりあえず実戦訓練やってみようか☆」


「「……はい?」」

 突然学園長室に集められ、突然そんな事言われた俺達……。泣くよね。

「うん。まあ、何をどうやってどういう風に実戦訓練するのかはだいたい予想しているけど、何その突然に……」

「唐突すぎるよ」

「そうかなぁ☆ あ、で、狙うのはこれなんだよね☆」

 話聞いて!

 だが傍若無人、自分主義、楽観主義の紅くんに言っても変わるはずがないので、しぶしぶ諦める俺達……。

 泣けるよね。

「正直新入生組で、もう一人入れたかったんだけど、入学式から来たこと無くてさ☆」

「ふ~ん」

 俺としては、まずその新入生の事をまったくもって知らないので、想像しようもないが。

 ああー、男子生徒だといいなー。なんて叶わなそうな夢を見る。

「いや、でも一応一週間みっちり練習したわけだし、君たちなら大丈夫かな☆ んで、狙うものなんだけど☆ ここから選んでね☆」

 いや、そんな冒険の最初にパートナーを選ぶポケ●ン的な感じで訊かないで欲しいんだけど。

 並べられた資料と写真。

 高そうな宝石、高そうな絵画。

 高そうな銅像、高そうな金歯。

 そこまで高くなさそうなスケッチブック。

 P●P、P●3、Xb●x360、3●S。

 デ●ノート、冬●ナ、その他様々……。

「最後近くロクなもんねぇなぁ!!」

 酷過ぎだった。

「うーん、そうだなぁ☆ それなら、デ●ノートで☆」

「一番関わりたくないものを出さないで頂けませんかねぇ!!」

「そっか☆ ならどうしようかねー☆」

 うーんと、紅くんはあまり真剣に見えない『にへらっ』とした顔をする。……うん。にへらっ、だ。

「それじゃあ、怪盗っぽい感じで言うと……やっぱ宝石かな☆」

「まあ、それっぽいけど……警備強そうじゃない?」

「そのために練習したんじゃないの?」

 そうは言ったってなぁ、旋。練習したのはたった一週間じゃないか。

 練習内容は殆ど解錠か赤外線レーザーを避けること。で、失敗したらバリスタの矢が飛んでくる。……生きた心地がしませんでしたよ。ええ。何度刺さりかけたことか。

「そんな感じでよろしく☆ あ、あと、これコスチュームね☆」

 ……コスチューム?

「はい☆」

 俺が手渡されたのは、白いハット帽、白いマント、白いスーツ、モノクル……ふぅ。

「怪盗キ●ドか!」

「あ、ちなみに旋クンのはこれ☆」

 旋が手渡されたのは、黒いハット帽、黒いマント、黒いスーツ、モノクル……ふぅ。

「そっちの方がカッケーじゃねぇか!」

「……そうか?」

 酷く蔑んだ眼でこちらを見る旋。な、なんだよ、文句あんのかよ。

「別に?」

 読心術はやっぱり最強ですね。

「それじゃ、着替えて今日の夜R2屋上に集合☆ ―っとそうだ☆ 盗む者の説明が必要だよね☆」

 紅くんは饒舌に説明し始めた。


「この宝石は白金剛石はくこんごうせきと呼ばれる、日本で最も美しく、硬く、白いダイアモンド。元々の持ち主から、このホテルを経営する人が買い取ったんだけど、僕が欲しくなったから盗ってきてほしいんだ。ホテルは深代(じんだい)グランドホテル。名前の通り深代(じんだい)区(昔の渋谷区)にある超高級ホテルなんだ。もちろんこの白金剛石があるせいで一気に警備は増え、この宝石の近くには赤外線センサーならぬ紫外線センサーがあるから、それに触れたら警備が来るだけじゃなく―被ばくで死ぬからね」


「さり気残酷なこと言うな!!」

「……僕が欲しくなったからって……」

 ―少し気になった事があった。なぜか紅くんの語尾から☆が消え去っていたんだ。少しチャラけたこの話では、☆を使っても何の不自然もないは―あるか。

 いうなれば作戦会議だもの。

「あと、武器はこっちで用意するから☆ 夜来たら渡すね☆」

「……わかりました」

「待て! 俺にはまだ言いたいことが!」

「行くよ……」

「おいこら旋! 首根っこつかんで引っ張るなァァ!!」


   △


 夜。紅くんとの待ち合わせまで残り10分を切った頃。

 俺はひ……好葉に捕まっていた。

「……」

「……」

 恰好をイメージすると、ひ……好葉、仁王立ち。俺、正座。

「な、なんでしょう、ひ……好葉さん」

「……」

「ひ……好葉さん?」

「……」

 何があなたをそうまで怒らせるんですか!?

「……なんで」

「はい?」


「なんで名前の前に柊を言いかけるの!?」


 そんなことぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぅぅっっ!!??

「いや、慣れてないからとしか言い様がないんだ――ないんですが」

 鬼の形相&涙で睨まれたので、すぐに敬語に戻した。……まさか、女の涙を使ってくるとは……。

 あの俺が社会的に死んだ夜から、俺はひ……好葉に対し、細心の気遣いを行なっていた。あれを公言されては、リアルに退学されかねん。そして責任とって紅くんも退職されかねん。

 というか殺されかねん。

 それだけは回避しなければと、思い至った結論だった。

「ちゃんと呼びなさいよ!」

「め、面目次第もござりません……ひ……好葉様」

 今の俺の恰好はOrzという状況下。

 泣くよね。

「変わってないじゃないの!」

 まずい事態だ! 時間がねぇぞ。ここは何とか回避せねば、待ち合わせに間に合わず、旋から冷やかな目線、紅くんから笑われながら中傷されてしまう。

 よし、練習しよう。ひ……ではなく、好葉好葉好葉好葉好葉好葉好葉好葉好葉好葉好葉……行ける!

「わ、悪かった、好葉。これでいいか?」

「! ……うん。いい」

 怒り過ぎて幼児化してしまったのか、くすんくすんと泣きながら幼児っぽく返事した。

 その表情に少しドキッとしたことは、俺が墓場まで持っていく話である。

 それにしても危険度大だった。だがこれで時間に間に合うだろう。……いや、間に合ってくれ!

 切に願った。

「じゃあ、俺は旋とちょっと待ち合わせしているから、行ってくる」

 ドアをガチャと開き、部屋から出る。

「じゃあ、また後でな。ひ……好葉」

「直ってないじゃないのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 扉の向こうで、ガダガダガダンといろいろと産卵する音が聞こえた。


 ……怖ろしきかな、10代女子。



「はぁ、はぁ、き、来たぜ……」

「随分と遅かったねー☆ なんかあったの?☆」

「うん、ちょっとまあ……」

 R2の屋上に走ってきた俺は、一瞬にしてコスチュームにチャンジ。……闇の中に白って超目立つなぁ……。

「あれ? そういえば旋は?」

「まだみたいだよ☆ でもあの旋クンがまだ来て―」

「……いるんだけど」

 突然闇の中から聞こえた声。そこには黒づくめと言っても過言ではない旋がいた。

「「うひゃあ!!」」

「……それも紅くんが来る前からいたからね」

「「まさかの展開!?」」

「さっきからハモり過ぎ……」

 仕方がないだろう! びっくりしたんだから。

「それにしても……ホントに黒いな」

「そう。自分でも見えなくなってくるほどに……」

 可哀そうな話だ。

「気を取り直して……っと☆」

 紅くんがキャラを作った様子が垣間見えた。……リラックスすればいいのに。

「武器を渡すからいい感じに使ってね☆ まずは……センサー妨害装置☆ これは怪盗に必須アイテムだよね☆」

 必須アイテムだけど……一体どういう原理で設計されているんだか……。

「妨害装置の原理は、基本電磁プラズマ構造による電熱線をオーバーヒート化することで、一時的に装置の動きを消す働きを持っている。基本動作はそれだけだが、応用すれば電子ロックも壊そうと思えば……」

「オーケーわかった。旋が読心術できる空間で深く考えてしまった俺が悪かった」

「……まだ話したいことあったのに」

 どんだけ秀才なんだよ、お前は……。

「次はこれ☆」

手渡されたのは……銃だった。

「あんたは俺らにマッポに捕まれって言うのかぁ!?」

「玲。感覚麻痺しているかもしれないから言うけど、俺達は今から犯罪しに行くんだよ?」

「せやった! どないせぇっちゅうねん!」

「なんで関西弁……?」

 動揺するとこうなっちまうんだよ!

「いやいやちょっと待って☆ これは銃刀法違反にはならないんだよ☆」

「なぜに?」

「これは実弾を入れるんじゃなくて、マーブ●チョコレートを入れる銃なんだよ☆」

「なぜに?」

 というか、どんどん怪盗キ●ドに似てきている気がするのは俺だけだろうか。トランプではないが、実弾を入れないところとか。

 待って。そもそもなんでマーブ●チョコレート?

 …………。

 旋! ここは読心術使って俺の代わりに訊くところじゃないのか!?

「これはワイヤー銃も兼ねているから、そこのところよろしくね☆」

 ワイヤー銃……。つたって歩けってことか。まあ、そういう練習もさせられていたけれども。

「あと、これが移動手段だから☆」

 そう言われて旋と一緒に手渡されたのは……なんと言うか、うーん、なんて言うか……。

「……これ何?」

 えー、わかんないのー?☆ と、紅くんはまた『にへらっ』とした笑いをした。

「これは収納型飛行ユニットだよ☆」

 わかるはずがない。

「そこのつり革みたいなところを握ってごらん☆」

 俺と旋は、言われるままにそれを行なう。

 カシュ!

「「おお」」

 掴んだその瞬間、つり革のちょうど上にある丸い所から、羽的何かがカシュっと出てきた。

「その裏からジェットが出てくるから、それで飛べるんだよ☆」

 いや、なんかもうスゲー通り越して怖ろしいな、この学園の技術は。

 ……さて、覚悟も決まったし。

「行くか!」

「ああ」

「んじゃ、がんばってねー☆」

 屋上から飛び出し、飛行ユニットを開いて大空を飛び始めた。

 ……揺れるマントがすごく邪魔だった。


 To be continued...

もしかしたら3部構成になるかもしれません。

次は急いで書きます!

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