大人の為の子供相談室 梅雨
いつもの感じです。グダグダです。
タケジー:えー、今月も始まりました。『大人の為の子供相談室』の第五回となります。本日もよろしくお願いします(わーい)
ミカリン:そろそろネタが尽きるんじゃないかと不安だったけど、何とか続いてるみたいで何よりです。一年間続くんですよね。途中で打ち切られたりしないですよねっ。
タケジー:変なフラグ立てようとしないでください!
ミカリン:わかってないなー、タケジーは。むしろこういう危うい感じにしといた方が生存フラグなのよ(えー)
タケジー:はいはい、戯言はいいですから早速お葉書を読ませていただきます。今回の質問は群馬県にお住まいのりっちゃん(五歳)からです。「わたしは雨がきらいです。つゆはどうしてあるのですか。うざいので消えてほしいです」とても利発で可愛らしい質問ですね。
ミカリン:いや、リスナーの葉書だからって無理して誉めなくてもいいでしょ。最後の一言が目茶苦茶黒かったじゃない。
タケジー:そうですか? ミカリンの黒さに比べたら眩しいくらいに白いじゃないですか。
ミカリン:ほほぅ、言うようになったじゃないかね、タケちゃん。
タケジー:まぁさすがに半年近くの付き合いになりますからね。慣れてもきますよ。それはそうとですね、最近思うんですよ。我々は間違った方向に進んでいるんじゃないかってね。
ミカリン:いきなり語り出したよ、このオッサン。
タケジー:オッサン言うな。まだお兄さんだ。
ミカリン:はいはい、二十代後半はギリお兄さんでいいから、続きはよ。
タケジー:……まぁいいですけどね。最近思うんですよ。この企画の方向性はこのままで良いのかと。この作品のタイトルは『大人の為の』、『子供相談室』なんです。そもそものキッカケは子供にされた無邪気な質問に対して、大人としてどのような回答をすべきなのか、そういったものでした。それがどうしてこうなったのか!
ミカリン:キャスティングのミスじゃなーい?(ほじほじ)
タケジー:本人がそういうこと言わない!
ミカリン:そうは言ってもねぇ。今更真面目な感じにしたって、ただでさえ少ないお客さんが鼻で笑いながらバックするだけよ?
タケジー:だとしてもっ、断固軌道修正すべきです。例えばですよ、木々はどうして秋になると葉を落とすのかという問いに、虫達のベッドにする為だとか言ってあげたいじゃないですか!
ミカリン:まぁ悪くはないんじゃない? 捻りとオチに欠けるけど。
タケジー:捻りはともかくオチはいりません。
ミカリン:まぁつまるところ、そういう方向性でやりたいってことね?
タケジー:そうです。断固メルヘンを希望します!
ミカリン:うん、じゃあ今回はそんな感じでいいんじゃない?(おー)
タケジー:……意外ですね。随分あっさり同意しましたけど。
ミカリン:何をそんなに警戒してるのか知らないけど、忘れているんじゃない? 何だかんだいって、今まで回答を示していたのは私なのよ。タケジーが答えを示したことがあったかなぁ?
タケジー:そ、そういえば……ミカリンのとんでもアイデアにツッコミを入れるばかりだったような気がしなくもありません。
ミカリン:ではタケジー、アナタの口からメルヘンを吐き出したまえ!(どどーん)
タケジー:何か汚いものみたいに聞こえるんでやめてください。とはいえテーマは梅雨ですよね。どうして梅雨があるのか……春の終わりと夏の始まり……うん、それは多分別れの悲しみと出会いの喜び、これでしょう。
ミカリン:どゆこと?
タケジー:春が終わり、その淋しさに涙する優しい女性、そこに現れる夏という名のバケーション、新しい出会いに喜びの涙を流すのですよ!
ミカリン:下の口がって意味ですね、わかります。
タケジー:子供に言えなくなるからやめてください!
ミカリン:つまり、別れと出会いの狭間にあるから、梅雨は雨が降ると、そう言いたいワケ?
タケジー:その通りです。これぞメルヘン、どこの子供に出しても恥ずかしくないレベルです。
ミカリン:……30点。
タケジー:10点満点で30点とは、意外な高評価ですね。
ミカリン:100点満点に決まってるでしょーが! というか、一応オリジナルで創作したってこと以外は全然ダメ。問題外のスチャラカホイな感じね。
タケジー:すいません。最後のは意味がわかりません。
ミカリン:話にならないってことだよ。言わせんな恥ずかしい。
タケジー:駄目って、何が駄目なんですか? そこまで言うならちゃんと説明してください。
ミカリン:良かろう。よーく聞きたまえ。まずはメルヘンの例に挙げた落ち葉の逸話をよく見てみよう。虫のベッドにするために葉を落とした、一見すると根拠のない妄想であるように見えるし、木の立場から考えれば意図しないことではある。しかし虫の立場として見れば、それは一片の真実を含んでもいる。それは虫達が越冬をするために落ち葉を利用しているという、歴然とした事実が存在しているからだ。
タケジー:はい、確かに。
ミカリン:ではタケちゃんのメルヘンはどうか。春との別れを惜しんで涙し、夏との出会いを喜んで涙するとあるが、これは単純なタケちゃんの主観でしかなく、ここに真実はない。花粉症の人間からすれば春との別れは望むところだし、暑いのが苦手な者にとって夏の到来は憂鬱でしかない。梅雨を涙雨とするには、あまりにも浅いね。
タケジー:うぐ……。
ミカリン:そういう時は『ぐぬぬ』と言うべき。
タケジー:じゃ、じゃあミカリンならどうです? そこまで言うなら真実をしっかりと含んだメルヘン的回答ができるんでしょうね?
ミカリン:もちろんだよ、ワトソン君。
タケジー:ワトソンじゃありませんけど、聞かせていただきましょう。
ミカリン:まず梅雨というのは何であるのか、それは日本の周囲に存在している四つの気団によるせめぎ合いであると言える。特にその内の二つ、オホーツク海気団と小笠原気団の二つが、日本に梅雨という特殊な気候を生み出していると言えるね。
タケジー:……ミカリンって、変なところで知的ですよね。
ミカリン:ふふん、まぁこれでも勉強家だからねー。
タケジー:いや、あんまり誉めたつもりはないんですけど。それはそうと、二つの気団でしたっけ? 馴染みがないんですけど、そもそも気団って何ですか?
ミカリン:気団というのは空気の塊みたいなものと思えばいいかな。場合によっては高気圧と同義だね。ちなみに小笠原気団は太平洋高気圧と呼ばれることが多いね。
タケジー:あ、それなら夏場によく聞きます。
ミカリン:そう、太平洋高気圧は夏の象徴だね。
タケジー:ではもう片方のオホーツクは?
ミカリン:オホーツク海高気圧は四月から八月という期間限定に発生する高気圧で、冷害や悪天候を生み出す北の魔物ね。つまり日本の上空で、北の魔物と夏の精霊ががっぷり四つに組み合ってせめぎ合っているというのか、梅雨の実態よ。
タケジー:理屈はわかりましたけど、どうしてそれで雨になるのか、子供にはわかりにくいんじゃないですか?
ミカリン:そんなことないでしょ。漢と漢のぶつかり合いなのよ。当然のように発生する汗という名の熱き血潮が降り注いだとしてもおかしくはないわ。というか、むしろ必然ね。
タケジー:……梅雨が、男の汗?
ミカリン:違うっ。漢の汗!
タケジー:何と言いますか、絶対に外へ出たくなくなりますよね。
ミカリン:拮抗しあう力を有した二人の争い、だからこそ停滞し長雨にもなる。これぞまさしく真理と真実に満ちたメルヘン、まさしく完璧!
タケジー:これメルヘンじゃなくてメル変じゃないですか、やだー。
ミカリン:お後がよろしいようで。
タケジー:ちっともよろしくないよ!
外出しない時の雨は好きだ。外出する時の雨は嫌いだ。