↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
13/61

第13話 新たな価値。

挿絵(By みてみん)


昼食の時間になり、俺は完成したばかりの扇子型魔導具を手に、食堂へ向かった。


食堂の扉を開けて中へ入ると、母さんが待っていてくれた。

一緒に昼食を済ませ、食後のお茶を飲みながら、持ってきていた薄紫色の扇子型魔導具を母さんに渡した。


「はい、これ。試してみて。すぐ調整もできるから」


「もう出来たのね!ありがとう」


母さんは扇子型魔道具を開いたり閉じたりした後、ゆっくりと仰いでみせた。


「……涼しい。とっても気に入ったわ。それに、魔導回路が淡い青色に光って見えるのが素敵ね。薄紫色の扇子を選んで良かったわ」


「気に入ってくれたみたいで良かった。魔導回路の光は邪魔になるかなって思って、光を遮る素材でも付けようか迷ったんだよね。でも、そうすると重くなるし」


「そうなの?でも、この淡い光はなくさなくて良かったわ。それに、普段使いだけじゃなくて、夜会に持って行くのにも良いと思うの。装飾が沢山施された扇子より、こちらの方が注目を集められそうだわ」


「夜会用の扇子として作ったわけじゃないけど、いいの?」


「えぇ。ここまで綺麗な扇子型魔導具なら、引けを取らないわ」


「え、そうなの?いつも夜会に出席するときの母さんのドレスって、すごく華やかだから……この扇子型魔導具だと合わない気がするけど」


「だから良いのよ」


「え?」


「華やかな装飾品はたくさんあるもの。でも、魔導回路が淡く光る扇子なんて、今まで見たことがないでしょう?」


「まぁ、話題には上がりそうだよね」


「いいえ」


母さんは扇子を見つめながら、ゆっくり首を振った。


「話題に上がるどころか、同じものを欲しがる人はきっと出てくるでしょうね」


「そうなんだ」


そうなると、アレク叔父さん、忙しくなるだろうなぁ……。その時は差し入れでもしよう。



「……フィン。あなたはもう少し流行に敏感になりなさい。そんなことでは、将来素敵な人と出会えないわよ?」


「俺、別に結婚する気ないんだけど」


「はぁ。またそんなことを言って……」


「いや、俺より兄さんたちでしょう。あの二人も結婚どころか、恋愛の話すら聞いたことない」


二人とも顔はかっこいいと思うし、何しろ侯爵家だ。なのに、浮いた話を聞かない。


「エミールは次期侯爵という立場もあるから、慎重になっているのでしょうね。フィリップは……魔導師団に入り浸っているから、出会いそのものが少ないのでしょう」


「フィリップ兄さんはどちらかと言うと社交的だし、魔導師団に女性もいるから、彼女の一人くらいいそうなのにね。まぁ、それ以上に魔法が好き過ぎるのが問題なんだけど……」


「そういうことよ。……あなたも人のことは言えないと思うけれど?」


「俺は魔導具作りで忙しいから」


「本当に、フィンらしいわね」


母さんは小さくため息をつきながらも、優しく笑った。


「でも、夢中になれるものがあるのは良いことだと思うわ」


「うん。魔導具を作ってる時間が一番楽しい」


「それなら、せめて体調管理だけはしっかりしてちょうだいね」


また釘を刺されてしまった。


「分かってる。じゃあ、俺はそろそろ作業部屋に戻るよ」


そう言って、俺は再び作業部屋へ向かった。




「さて、次は何を作ろうかな――」


あ、タイマーみたいなものを作ろうと思っていたのを忘れていた。

魔導時計を元にすれば、作れそうだし試してみるか。



とりあえず、本体をどうするかだな。

砂時計を改良するか……いや、数分程度なら使えるけど、数時間単位になると厳しい。

そうなると、一番簡単なのは魔導時計にタイマー機能を追加することだけど……。

そもそも、俺が欲しいのは冷却魔導具を自動で操作するための機能だ。


操作盤に魔導時計の回路を組み込んで、光属性と無属性魔法を組み合わせれば――

……あぁ、無理だ。

操作盤に収まらない。


魔導回路を限界まで詰めれば収まるかもしれないけど……使っていくうちに回路同士が接触する可能性がある。

それじゃあ安全性に問題が出る。便利にするための魔導具で、事故が起きたら意味がない。


……無理に詰め込むより、操作盤本体を一回り大きく作り直すのが一番簡単か――




コンコン――

扉を叩く音で、思考が途切れた。



「フィン様。ただいま戻りました。アレクシス様へ仕様書と魔導具をお届けしてまいりました」


「ありがとう」


とりあえず、タイマーについてはもう少し考えようかな……。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

今回は母に扇子型魔導具のお披露目回でした。

次回もフィンの魔導具作りを楽しんでいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。