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侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜  作者: 西 悠希


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106/117

第106話 更新日と白い木。



あれから二日後。

アレク叔父さんと空き物件を見る日になった。


そういえば商業ギルドに行くのはいつぶりだろう?……全く記憶に無いな。

アレク叔父さんに販売を任せて、俺は魔導具を作っているだけだから商業ギルドに行く用事もない。

……あっ、でもギルドカードの更新がそろそろだった気も――


「フィン、待たせたか」


「いや、今来たところだよ。アレク叔父さん、松葉杖ついてるけど大丈夫なの?」


「あぁ、大丈夫だ。痛みもだいぶ引いてきているからね」


「そうなんだ。てっきり足が治ってから物件を探し始めるのかなって思ってたから。そういえばこの前、食堂《オールド・ハース》に行ったんだけど、もう食事処をはじめる話が広まってるみたい」


「私が直接、商業ギルドに行って空き物件の紹介をお願いしたからかもね」


……いや、多分、松葉杖ついて商業ギルドに行ったから、すごく目立ってたんだと思う。



「いらっしゃいませ。リリエン伯爵様、フィン様」


「先日お願いしていた二件の空き物件を見に行きたいので、今日案内をお願いしてもいいですか?」


「承知しました。担当の者を呼んでまいりますので、しばらくお待ちください」


そう言うと、受け付けの人が裏の部屋へ入っていった。


「久しぶりに来たのに俺のこと覚えてる人がいるんだね。びっくりした」


「……そうか。商業ギルドでフィンのことを知らない人の方が珍しいと思うよ」


「えっ、そうなの?」


「いままで、どんな魔導具を作ってきたのか覚えていないのか?」


「いや、さすがにそれは覚えてるよ」


「そういうことだ」


……なるほど?


「それはそうと、フィン。久しぶりに来たと言っていたが、ギルドカードの更新はちゃんとしているんだよな?」


「そろそろ更新の時期だとは思うけど……」


「更新期限から三ヶ月を過ぎたら無効になって、また新たに再登録料150ヴェリ必要なのは知っているな?」


「そういえば、そんな話を聞いたことあるね」


「そろそろ更新なら、今日、やっておきなさい。でないと、フィンが次に思い出すのはいつになるか心配だ」


「……いや、さっきちゃんと更新のこと考えてたんだけど。まぁいいや。とりあえず今日やっておくよ。また来るのめんどくさいし」


えぇーっと、確か更新料って10ヴェリだったよな……大銅貨は……あった。


「お待たせしました。案内を担当させていただきます、ハンスと申します。本日はよろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


「すみませんが案内の前に、ギルドカードの更新をお願いしてもよろしいですか?」


「承知しました。ではギルドカードをお預かりしますね」


俺はギルドカードと、更新料の10ヴェリを渡した。


そういえば、前世で免許の更新にお金がかかってたけど、それよりギルドカードの更新料は安いよな。日本円だと……1,000円くらいか。

そう考えると再登録料が15,000円……高い。更新のこと思い出して良かった。

あっ、でも確か、ギルドカードの裏面の端の方に小さく次回の更新日が書かれていたような――


「お待たせしました。これで更新は完了です。次回の更新は五年後になります。更新日はカードの裏面に記載されていますので、ご確認ください」


「はい。ありがとうございます」


これで、次に商業ギルドへ来るのは五年後かな。……いや、物件の購入やらなんやらで、あと数回は来そうだな。


「では、参りましょうか」


まず向かったのは、空き家が二件並んでいる場所だった。


「ここの二件を改装して、食事処を作るのはどうかと思ってね。日当たりも良くて、フィンが考えているあたたかい店になるんじゃないかな」


「そうだね。大きな窓にして、光をいっぱい取り込めたら理想的な食事処になりそうな気がする」


花壇とかも再利用すれば窓からの眺めも良くなりそうだ。夜には花壇をライトアップしたり、数席をテラス席として置くのもいいな。


「ぜひ、中もご覧下さい」


「おぉ!白っぽい木を使っているのか。明るくてお洒落な感じですね」


「はい。建てた当初、この木が流行っていまして、隣の家も同じ木を使っているので、改装の際には統一感が出ると思います」


「なるほど」


「二階部分は三部屋ありますので、ご自由にお使いいただけます」


白い木か……そういえば前世でベンガレンシスを育ててたなぁ。あれも白っぽい幹に一目惚れしたんだった。


「では、次の物件に参りましょうか」



第106話を読んでいただき、ありがとうございます!

食事処の物件探しが始まりました。

次回も楽しんでいただけると嬉しいです!

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