この景色より先に
この季節に咲く花をとくに好きでいた
この季節の服装に手間取ってたキミは
いつも僕を待たせた
何度か
ゴメンと言いながら
僕はそれでいて
キミの悪気のない表情に
とても安心した
どこに出かけようか・・
お互い、そんな言葉でいたから
いつのまにか待ち合わせの時間も
午後から午前中へと変わっていった
早めに行動しないと
もったいないから
どこでもいいとなったときは
きまって駅前の喫茶店に席を移動した
めずらしく無料の駐車場があるのも
僕たちの優先順位になっていた
いつもは窓を背にするキミだったけど
最近では
僕がそうしていて
キミは窓の外の風景を
微笑ましく眺めていた
運ばれてくる飲み物も
あたりまえのようにふたり
それぞれの前に置かれ
あたりまえのように
お互い、手に取った
はじめてキミと話をしたのも
このお店で
今より髪の長かったキミは
あどけない表情をして
恋愛の話にはあまり
興味がないような素振りをみせた
できるだけ
やさしさを知ってほしいと
背伸びをしたこと
ずいぶんとあったけど
それでも、気がついたときには
僕のほうが
キミのやさしさをたくさん知ってた
あの席で、友達みんないる中で
キミは窓の外をぼんやりと見つめていた
僕のなかでは
この窓から先の景色は
あの頃と
何一つ変わったものは
ないだろうと思いつつ
キミがニコリとしたから
何かステキなことに気づいたんだろう
今度聞いてみよう
でも、今すぐのほうがいいかな?
どうしようか・・
沈黙のとき
今度は僕が
キミを待たせる時間となった




