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ミーア・オートマチック  作者: キサガキ


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機械人形はアイを知る。(2)

「にいいいっ」

 巴の口角は吊り上がり邪悪な笑みが浮かんだ。おそらくこれが本当の巴なのだろう。隠す気のない殺気をまき散らし天高く弾け飛ぶ。

 やったか。いや巴にダメージはない。では攻撃は失敗したのか。

 違う。ミアの狙いは巴じゃない。

 ミアの本命それは、無理やりワルツを踊らされるお姫様の救出であった。

 火花を散らすドリルの先端が割り込み、邪魔された蛇腹はレイカの手を離す。

「助かりましたわ。ミーアさん」

「うん!」

 二人は隣り合わせに並び、夜空へ浮かぶ巴を睨む。

「いいね、レイカちゃんもミーアちゃんもやっといい顔になってきた。お姉ちゃん嬉しいよ」

 スカートからノズルが飛び出し噴射するジェットエンジンで空中にいる巴の笑顔は邪悪そのもの。

「巴お姉ちゃんだって、いい笑顔だよ。まるでラスボスみたいで」

「うふふっ。正解。わたしは人類を滅ぼす死の女神ですよ」

「なら、あたし達は世界を救う英雄だ! 行くよレイカさんッ!」

「ええっ。よろしくてよ」

 ――トオッ!

 二人は掛け声を合わせ同時に宙を翔る。

 左右に分かれ巴を挟み撃つ。ミアは拳とサブアーム。レイカは爪先を槍の様に尖らせた蹴り。二人の同時攻撃が放たれた。


「あちらを立てばこちらは立たず。こういう時に使うのかな」

 巴は体を回転しながら、指先のマシンガンで狙い撃つ。

 銃弾のシャワーは容赦なく二人へ降り注ぐ。

 サブアームを盾にするミア。対してレイカに防ぐ手段無し。

「あらっ。ダメじゃない、レイカちゃん。準備不足。どうやってこの最終ミッションをクリアするつもりだったの?」

 巴の最初の獲物が決まった。つり上げた口角そのままに、レイカとの距離を一気に縮めた。

「レイカさん!」

「大丈夫だ。ミーア」

「お兄ちゃん?」

「レイカはリリス零号だ。その本来の役割は暴走した姉妹達の破壊だ」

「うふっ。この手を最初に汚すのが、お姉様とは計算外ですわ」

 白いロングコート姿の神威とは真逆の漆黒のロングコートをなびかせ、レイカはフルフェイスの仮面を被る。

「朔夜。君は知っていたのか。あの姿を」

「あぁ。旦那がジンさんだった時に戦ったのを見たぜ。黒衣の鴉をよ」

「わたくし残酷ですわよ。お姉様」

 コートの中に帯刀していた異形な形した刀を引き抜き、鴉の仮面の中でレイカの口角がつりあがった。


 夜が深くなり風が強くなる。天気の機嫌が悪いようだ。荒れ出す波の音に混ざり、連続した金属音が鳴り響く。

 銃弾の暴風雨をレイカは刀で切り刻む。

 足元には大量の鋼色した水滴が、水溜まりを作っていた。

「もう弾切れかしら」

 そう言ってレイカは仮面の中で笑い、近距離まで近づいた巴に刀を振り下ろす。

「刀なら私も持ってます」

 右手小指から手首側面にかけて、刃が飛び出した。

 ――キンッ!

 火花を散らし刀と手刀がぶつかる。

「お姉様は武器のデパートかしら」

「殺人マシーンですよ。私もあなた達も」

 巴の口角はつり上がったままで笑みの形を崩してないが、朔夜には泣いてる様にしか見えない。

「だからこそアタシ達は、その運命を変えようとしてるんだッ!」

 巴の背後まで近づいたミーアが、サーブアームを振り上げた。

 チャンスだ。巴はレイカと戦闘中、後方からの攻撃に対して手薄。そう思った朔夜は自分の甘さを認識する。

 斬。巴のセーラー服のカラー、襟が鋭い刃になりてサーブアームを斬り刻む。人型の機械だから人間と構造が同じだと、誰が言ったか。

「ミアッ!」

「大丈夫だよお兄ちゃんッ!」

 壊れたサーブアームがパージする。

「ハァァァッ!」

 ミアの気合の混もった拳が、延髄へ吸いこまれていく。

「学習しないとダメダメ。ミーアちゃん。お姉ちゃんの髪には魔物が住んでるの」

 後頭部に横一文字の亀裂が走り、第三の目玉とミアは見つめ合う。

「巴お姉ちゃん。アタシはリリス三号。最新型だよ。既にメデューサへの攻撃は始まっている」

 ――ギュン。蛇腹の中へ吸いこまれていた右拳が、螺旋状に動き出す。

「名づけて、ドリルクラッシャー」

 ――ブチブチブチブチッ。

 回転に巻き込まれた蛇髪が、次から次へと悲鳴をあげていく。艶のある綺麗な長い黒髪は千切れ、悲しみと共に波が飲み込む。

「きゃぁぁぁぁ。髪、わたし自慢の長い髪が! 短くしたら嫌われちゃう朔夜さんに嫌われちゃう嫌われちゃう嫌われちゃう」

 冗談で言ってるのか。本当に嫌われたくなければ、朔夜達と和解し人類を滅ぼすのを止めれば済む事。

「……まさか」

 やはり学習しているのか。搭載されている人工知能イブが。リリスのアイシステムの様に感情を。

「巴、俺は面白ぇのが好みだぜ」

「本当? 朔夜さん」

 ――トゥンク。

 巴の鼓動が高まり大きく響く。

「はっはっは。甘い。認識が甘いよ。巴お姉ちゃん。お兄ちゃんが外見で判断してたら、アタシを機械生命体を愛すわけないよ」

「アイ……これが感情……墓場から産まれた【巴】には理解できない」



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