73話 犠牲
伏黒「どうぞ、くつろいで行ってください」
大森「助かるよ、伏黒君」
カスミ「……政治家の人だなぁ……頭いいのかな?」
大森「じゃ、クイズを出そうか、ことわざに猫が入っている奴を答えなさーい」
セリア「ジャパニーズ?」
大森「外国の子かな……」
セリア「日本語しゃべれるぞ」
大森「そうか……」
そういう会話を聞いていたが、ポケットに入れてある携帯が鳴った。
伏黒「大森さん、失礼」
俺は外に出て電話に出た。
おやっさん「すまない、こんな夜分に、いいか、聞いてほしい、昼間、井上が留未那須に襲われ、死んだ」
それは仲間の訃報だった。
伏黒「何言ってるんですか……エイプリルフールならまだ……」
おやっさん「信じられないかもしれない、若い衆が死んだんだからな、今日極秘裏に通夜、そして明日には告別式を行う」
伏黒「……そうですか」
俺はそれだけしか言えなかった、これは渡世だ、毎日裏の人間が死んでるんだが、うちの若い衆になるとはな……
伏黒「……喪服は何処にしまってあったっけな」
カスミ「どうかしたの?」
伏黒「……若い衆が死んだ、それで通夜に行く」
カスミ「なら私も……」
伏黒「お前は行くな」
カスミ「でも……心配だし」
伏黒「だから来るな!!!」
俺は大きな声で怒鳴ってしまった。
カスミ「……もう心配しないからね」
嫌われちまったのかな……
伏黒「いいか、極秘裏に動かないと駄目なんだ、だから一人でいないと駄目なんだ」
カスミ「……わかってるよ、いつか人が死ぬのを、伏黒君もいつか死んじゃうんでしょ?だから、一時でもいいから一緒にいさせてよ」
伏黒「わかった、だがあまり騒ぐなよ?指の1本か2本飛んでも知らないぞ」
カスミ「はーい」
伏黒「という事なので、大森さん、二人で耐え忍んでください」
大森「今ヒットマンが来たら……」
セリア「大丈夫、私最強だから」
伏黒「おうおう、どこかの銀髪を思い浮かべるな」
そして俺は下田のカシラに指定された場所に向かった。
伏黒「……ここか」
忌中札がかかっていないが、ここなのだろう。
伏黒「お前、なんで死ぬんだよ」
そこには顔面を数十か所、チャカを弾かれてできた銃創が無残に顔をぐちゃぐちゃにしていた。
下田「チクショウ……井上ェ……」
井上の一番舎弟の浪打はものすごく泣いていた。
浪打「どうして……どうして俺の周りはどんどん死んでいくんだよ……教えてくれよ……」
そうだ、井上は浪打にシノギのコツを教えていたんだよな……
伏黒「浪打、もうすぐ始まるから席に座るぞ」
浪打「嫌です……離れたくないです……」
そりゃそうだよな、一番面倒をかけてくれた人なんだよな……
伏黒「一緒に座るぞ」
俺は浪打を立たせようとしたが、膝から崩れ落ちた。
伏黒「……仕方ないよな」
カスミ「どうするの?」
伏黒「下田のカシラとちょっと話してくる」
あの事を下田のカシラに話を言いに行った。
下田「それでも漢かと言いたいが……ああなるのも仕方ないな……そうだ」
下田のカシラは急に走り出して、棺桶から何かを取り出した。
伏黒「……それって」
下田「おい、浪打、泣くな」
そして差し出したのは井上の遺品、死んだ後も握っていたドスだった。
下田「浪打、こういうのは悪いが……これには魂斬と言われてるんだ……だがな、井上の魂は切れないはずだ」
浪打「……はい……一所懸命にがんばります……」
その時、浪打は男泣きをした。
浪打「うおぉぉおおお!!!!」
そして落ち着いた頃、坊さんがやってきた。
伏黒(……いったんは落ち着いたが、この後が怖い)
そう、この反動で浪打の涙が2回目来たらさすがにヤキを入れようと思ったが、泣かなかった。
伏黒「……いったんは落ち着きましたね」
おやっさん「ああ、俺は若い衆を死なせてしまった……」
そういうとおやっさんは井上の顔を撫でた。
おやっさん「情けない親ですまないな……」
そしておやっさんはおぼつかない足でその場を後にした。
伏黒「俺は帰るか」
カスミ「……そうですね」
その時は知らなかった、この場所は割れていたと知らずに。
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