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悪と呼ばれる存在を友達と呼んではダメですか?  作者: 七篠
【怒る】ドラゴン
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他の人にも話してみた

「おい。少し話いいか」


 昼休み、奥さんお手製の弁当で昼飯代を節約していると男子生徒の先輩が声をかけてきた。

 夏合宿の時に俺の体力作りを手伝ってくれた先輩だ。


「ここでもいいですか?」

「そっち側が良ければ、だけどな」


 今俺達は食堂で食べていたのだが、アンノウンであると判明しているドラコとアンノウンかもしれないコッペリアが一緒に居る事でちょっと孤立しているので席は余っている。

 あと人間だと断定できるのは俺と愛香さんだけ。


「別にいいわよ」

「私も構いません」

「……シューの事いじめない?」

「いじめるつもりだったらもっと別なところで狙うわ」

「そっか。ならいい」


 ドラコだけ疑っていたがすぐに納得して弁当を食べる。

 先輩は俺の向かい側の席に座って真剣な表情をしながら聞いた。


「お前の周りにいる人達の中でアンノウンはどれくらいいる」

「あれ?そう言う情報って愛香さんから聞いてるんじゃないんですか?」

「流石に全部って訳じゃない。愛香さんの情報は今じゃ上層部にダイレクトに流れて、そこから俺達に流して良い情報と悪い情報を分けてから俺達に聞かされてるからな。部分的なんだよ」

「なるほど。それじゃ正直に言いますと、ドラコ、コッペリア、奥さん、ベルはアンノウンです。他にもあと2人いますけど、今どこで何をしているのかは片方だけ不明です」

「……マジかよ。ちなみに判明している方は何してるんだ」

「ドラコの話によるとヨーロッパの方で転生者達を使って遊んでいるそうです。ただ何人かの転生者達を中心に遊んでいるようなので、もしかしたら俺の前世の世界で英雄をやってた人達の足止めでもしてるんじゃないかと」

「なるほどな。まぁコッペリアさん達の事を見て分かっていたが、アンノウンと本当に親しい関係なんだな」

「まぁ俺の場合は依存もありますけど」

「依存?」


 まぁ自分でも言って手この言葉で合っているのかどうか疑問だが、俺の感情としてはこの言葉が正しいと思っている。


「だって唯一無二の前世からの友達ですよ。特別扱いしたっていいじゃないですか」

「だが人間じゃない」

「俺はそれでもかまわない。ところで先輩にとって人間の傲慢な部分ってどこだと思ってます?」

「あ?人間の傲慢な部分?」

「はい。その話に俺がなぜ人間ではないコッペリア達をすぐそばにいさせているのかの理由もありますので、まずは先輩にとって人間の傲慢な部分を聞いておきたいと思いまして」


 俺がそう言うと先輩は少し考える。

 ただ黙って待っていると先輩は口を開いた。


「やはり町や武器を作って他の動物などから優位性を取っている部分じゃないか?人間と言う生物そのものは他の動物と比べて脆弱なのに、道具と言う部分で優れた事でこの地球を支配している。他の生物は自身の肉体のみで戦っているというのに」

「なるほど。それも傲慢かもしれませんね。俺のはまた少し違いますけど」

「それじゃお前にとって人間の傲慢な部分は何だ」

「他の生物であっても愛する事が出来る事です」


 俺はそうはっきりと言いきった。

 それを聞いた先輩と愛香さんは首をかしげていたが、コッペリアとドラコは俺を見ながら穏やかな表情を作る。


「多分少し規模を小さくすればイメージしやすいかと思いますけど、普通に生きているだけでも有機物無機物関係なく人間っていろんなものを好きになるじゃありませんか。飼っているペットとか、それこそ二次元のキャラクターでもいい。人間は好きになった物なら目の前にいようが居まいが、種族の垣根だろうがどうでもいいって思えるんですよ」

「まぁペットを家族として大切にしているっという話なら納得できるな」

「そんな感じです。だから俺にとってコッペリア達も同じ位置づけなんですよ。ペットと言う感じではありませんが、気に入った友人だから愛している。友愛でもあるし、敬愛でもあるし、親愛でもある。ただ偶然その気に入った友人が世界から悪と決めつけられた存在で、でもそんな理由だけで友達止めるほど浅い関係でもないんですよ。その正体が神様だろうが天使様だろうが悪魔だろうがドラゴンだろうがアンドロイドだろうが関係ない。周りからそいつらは悪だからと言ってすぐに友達止めるほど、薄情じゃないんですよ」


 俺がそう言うと複雑そうな表情をする先輩と愛香さん。

 まぁ誰が何を好きになるのかはその人の勝手だ。

 他の人達に迷惑をかけないのであればアイドルが好きでも構わないし、アニメのキャラクターが本気で好きだと言ったってかまわない。

 肌の色だろうがどこの国出身だろうがかまわない。

 俺はそう思っている。


「なるほどな。それがお前の信念って奴か」

「そんなカッコいい感じの物じゃありませんよ。ただ俺が心から友人だと言える存在が後から悪と呼ばれる存在だと知っただけです。もし最初から悪と呼ばれる存在だと知っていたら、今の関係にはなっていなかったと思いますから」

「だが聞きたい事は聞いた。正直俺はコッペリアさん達を使って世界征服、みたいな事を言い出さなければそれでいい。もしくは世界の破壊とかな」

「そんなの興味ありませんよ。それにこの世界が終わっちゃったら俺も生きていけないじゃないですか」

「そりゃそうだ。まぁお前の考えを確認できただけよかったよ。マジでお前の考え方1つで簡単に世界が破壊されちゃ困るからな」

「だからそんなつもりはありませんって」

「でも気を付けろよ。アンノウンだから、アンノウンをかばう存在だからお前を狙う奴はいないとは言い切れない。だから気を付けておけよ」

「ありがとうございます。注意しておきます」


 注意を素直に受け取り、先輩はどこかに行った。

 まぁドラコたちと一緒に居るから問題ないといえると思うが、俺とドラコたちが離れている間に攻撃してくる可能性がない。とは言い切れないのか。

 これでもただの一般人やってるんだけどな。


 なんて思っていると突然ドラコがどこかに向かって顔を向けた。


「どうした?」

「なんか……危ないのが来た」

「危ないの?」


 なんて思っているとテレビの方で緊急速報が流れてきた。


『速報です。先ほど中国にて巨大なドラゴン型アンノウンが出現しました。中国政府はアンノウンに対して攻撃を即座に開始しましたが、芳しくない状況であり、周辺国では対策を――』

「……ドラコ。もしかして今反応したのこれか?」

「これ。あいつ、やな奴」


 そう言って俺の膝から降りて食堂の外に向かおうとするので俺は止めた。


「何で止める?」

「いや止めるだろ。あのドラゴンと言うよりは東洋の龍タイプのアンノウン相手してくるつもりだろ」

「うん。気に入らない。ぶん殴る」


 勇ましくファイティングポーズをとるのは良いが、だからと言ってそう簡単に行ってこいとは言えない。


「いいかドラコ。あいつらはまず自分達の手で守るもんだ。そしてどうしようもなくなった時に助けを求めるはずだから、その時に助けに行けばいい」

「でもあいつ、多分こっち来る」

「あのアンノウンが?何で」

「上質なエサ、狙ってる。シューの事狙うかもしれない」

「なるほど。あいつ人間を食うタイプか。それでも助けてって言ってくるまでは待て」

「何で?早く行った方が楽」

「まずは情報を集めてからだ。あの国はプライドだけはいっちょ前だから、呼ばれずに行くと拗ねんだよ」

「拗ねる?何で?普通嬉しい」

「それがプライドって奴。とにかく今は自分達で頑張るだろうから、少しだけ待て」

「む~」


 不満そうにするが一応は俺の言う事を聞いてくれた。

 さて、中国の転生者達はいつ泣きついてくるんだが。

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