第九話 継母と義姉たちの断罪
ここは、裁判所兼処刑場。
先日、四年前の貴族名簿の偽造に関わった役人を処刑したばかりで、辺りには、血の匂いがこびり付いていた。
アリアナの継母のヴィクトリア、義姉のエミリーとクロエ、父のヘンリーの四人は、縄で縛られ、執行人たちに地べたへと押さえつけられている。
そして、少し離れたところには、大きな斧と、棒の刺さった、赤く光る石炭がたくさん入った大きな缶が置いてあった。
オレは、四人の処刑を眺めるために、リチャードを連れてこの場所にやって来ていた。
心優しいアリアナは、あれだけの虐待を受けていたにも関わらず処刑を見に来るつもりはないそうだ。
「判決を言い渡す!」
ゴクリッ
「被告人、ヘンリー・ウィンザーは、簒奪とエリザベス・ウィンザー男爵夫人の殺害の罪で、死刑とする!!」
執行人が、大きな斧を持って、ヘンリーのもとへ向かう。
「嫌ああああー! 止めてく
ザシュッ
ゴトッ
「被告人、ヴィクトリアは、簒奪とアリアナ・ウィンザー男爵令嬢の傷害致傷の罪で、死刑とする!!」
先ほどの執行人は、血まみれの斧を持ったまま、今度はヴィクトリアのもとへ向かう。
「いぎゃあアあアああー!」
ザグッ
「いぎゃああアああー!」
先ほどの処刑の際に刃毀れでもしたのか、今度は、一発で首が落ちることはなかった。
ザグッ
「いぎゃあアあアアアー!」
ザグッ
「いぎゃあアあアああー!」
ザグッ
「いぎゃあ、あ、あ……」
ヴィクトリアは、静かになった。
「被告人、エミリー及びクロエ!」
「「ひ、ひぃ」」
「リチャード王子は寛大だ。お前たち本来死刑になってもおかしくなかったが、死刑は免除とのことだ!」
「「あ、ありがとうございます」」
「人は見た目ではない。そのことを学ぶ機会を、お前たちに与える!」
執行人の男が、赤く光る石炭がたくさん入った大きな缶から、先端が赤く熱せられた鉄の棒を取り出した。
じゅー
「ぎやあアアああアァアアヤアーー」
エミリーの左目に、高温の鉄の棒が押し当てられる。
眼の水分が音を立てて蒸発し、眼球が表面から炭へと化していく。
「ひ、ひい」
じゅー
「ぎやあアアああアァアアーーー」
次は、クロエの番のようだ。
クロエは、尿を漏らしたのか、股の辺りが濡れている。
顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっている。
「わ、私は、脅されていただけで、アリアナをいじめてなんて
じゅばじゅー
「ぎいやあアアああアァアアヤアーーー」
クロエは、醜い弁明を始めたが、聞き入れられるはずもない。
クロエの眼の周りは、大量の涙やらで濡れていたため、エミリーの時より、大きな音がした。
じゅばじゅー
「ぎいやあアアああアァアアアアーーーー」
こうして、継母たちへの断罪は終わった。
ヴィクトリアとヘンリーは死に、遺体は晒しものになった。
そして、両目と美貌と地位と名誉と財産を失ったエミリーとクロエは、王都の路地裏へ放逐された。
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