表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

第八話 継母と義姉たちの破滅

オレは、リチャードと護衛騎士たちのほかに、国内の犯罪の取り締まりが専門の騎士たちも連れて、ウィンザー男爵領へ向かっていた。


「エミリーです」

「クロエです」


ウィンザー家のエミリーとクロエは、やはり舞踏会で絡んできたエミリーとクロエと同一人物であった。

上等なドレスを身に着けている。


「アレクサンダーだ。……失礼」


オレは、ポケットから、ライムのような球を取り出すと、それを、エミリーの、胸の辺りに押し当てた。


「えっ? きゃあ」


もし仮に、エミリーがあの魔法少女なら、魔法少女の魔力外装(コーデ)の一部であるこの緑の玉は、エミリーの体に吸い込まれていくはずだ。

予想通り、何も起こらない。


同じことを、クロエにも行う。


「きゃあ」


やはり何も起こらない。


「……やはり君たちは、違うようだね……」

「「えっ?」」


さて、二人があの魔法少女ではないことの確認は済んだ。


「ウィンザー男爵、ウィンザー男爵夫人!」

「「はっ」」

「お前たちを、簒奪(さんだつ)の容疑で逮捕する!」


ウィンザー男爵家の面々は、口をぽかんと開けて、静かになってしまった。

続いて、我に返ったのか、ヘンリーとヴィクトリアの顔が青く変色していく。


「…どういう、こと…?」


その時、どこからか、小さく(つぶや)き声が響いてきた。

間違いない!あの魔法少女の声だ。


「アリアナ・ウィンザー男爵令嬢か?」

「わ、私の名前を、ご存じなのですか!」

「ああ。9年前の貴族名簿に()っていた」


引き連れてきていた、国内の犯罪の取り締まりが専門の騎士たちが四人を拘束する。


「アリアナ様を連れてまいります」

「ああ。頼む」


ほどなくしてリチャードが連れてきたのは、襤褸(ぼろ)の肌着の上に、古いエプロンを(まと)っているだけの少女だ。

彼女の頬には、痛々しい火傷痕(やけどあと)


「お前たちのやったことは、全て分かっている!!」


先代のウィンザー男爵には、娘が一人しかいなかった。

その為、一人娘のエリザベスの夫、ヘンリーが一時的に男爵になり、エリザベスの子供に継承権が引き継がれる予定だった。

エリザベスとヘンリーの子供はアリアナ一人だったため、アリアナの夫が次の男爵となる。

しかし、ヘンリーは愛人であるヴィクトリアと共謀し、エリザベスを殺し、ウィンザー男爵の爵位を簒奪(さんだつ)した。

そして、役人に賄賂(わいろ)を贈り、4年前の貴族名簿の作成の際に、エリザベスではなくヴィクトリアが先代ウィンザー男爵の娘である、と書き換えた。


リチャードが、調査結果を、淡々(たんたん)披露(ひろう)する。

ヘンリーとヴィクトリアの顔は、青を通り越して、もはや幽霊のようだ。

エミリーとクロエは、心配そうな顔をしておどおどしている。

簒奪(さんだつ)計画自体には、関わっていないのかもしれない。

だが、アリアナの顔の痛々しい火傷痕(やけどあと)、みすぼらしい服装……。

オレは、怒りのままに言い放つ。


「連行しろ!!」

面白いと思ったら、高評価、ブックマークをお願い致します。

お気に入り登録とTwitterのフォローもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ