第三話 プリティークリスタル
継母のヴィクトリア、父のヘンリー、義姉のエミリーとクロエの四人が王都の屋敷へと出発したことで、私は、一時的に自由になった。
ウィンザー男爵領は辺境に位置しているので、一度王都に向かえば、1か月は帰って来ないだろう。
しかし、することがない。
家の中には、私向けのおもちゃなど一つもなかったからだ。
「森でお散歩しようかな」
私は森に入ると、森の奥の泉を目指すことにした。
ここなら村人たちも入ってこないので、泉に着くと、私は服を脱ぎ、裸になった。
服をたたんで、泉の淵にある石の一つの上に置き、泉の中に入る。
透き通った水の中を泳いでいる小魚たちが、私の体をつっつきはじめた。
昨日は台所の床で寝てしまったため、私の体は汚い。
小魚たちにとっては、ご馳走なのだろう。
小魚たちの鱗が、きらきらと陽光を反射して輝く。
ん? 小魚の鱗にしては、大きすぎる輝きがあるような……。
「きれいな石……」
その輝きの正体は、水底に転がる、美しい宝石の物だった。
黄色、緑、青、ピンク……。
その宝石は、この世に存在する、全ての色に輝いていた。
普通の女の子だったら、拾って、家に持ち帰ったことだろう。
「でも、こんなきれいな石、持って帰っても、義姉さまたちに、取られてしまうに違いないよね……」
「ふ~ん。キミは、お義姉さんにいじめられているまぽ?」
「えっ?」
私は、慌てて周囲を見回す。
誰もいない。
「今、何か、聞こえたような……。気のせいかな?」
「気のせいじゃないまぽ!」
私は、もう一度周囲を見回す。
やっぱり、誰もいない。
「ここまぽ!」
「……石が、しゃべってる?」
「そうまぽ! ボクは、プリティークリスタルまぽ。よろしくまぽ」
「ぷりてぃーくりすたる?」
「そうまぽ。プリティークリスタル。魔力の籠った石まぽ!」
魔力の籠っている石、魔石という物の存在は、流石に私でも知っていた。
魔法少女たちは、魔石を利用して、魔法を使うことができるのだという。
「でも、どうして石がしゃべっているの?」
「魔力の籠っている石は、意思を持っているまぽ! そして、魔力の相性がいい相手とは、魔法の力で喋ることができるまぽ」
「へぇ」
「意思を持っているまぽ!」
「……どうして二回言ったの?」
「……あれ、滑っちゃったまぽ?」
「……あっ、石が意思を……。うわ、とっても面白いですね」
アリアナは、ぎこちなく作り笑いを浮かべる。
「いや、気を使わなくったっていいまぽ。それよりも……」
「それよりも?」
「ボクと契約して、魔法少女になってまぽ!!」
え?
「えええーーー!!」
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