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痛みと解放

「はぁ……」


 自然と、口からため息が漏れた。


「どうしたの?」と言わんばかりに首を傾げ、優しく寄り添ってくれるダイヤウルフ。ダイヤの体毛が俺に突き刺さらないよう、そっと近寄ってくれる気遣いが心に染みる。


 この半年沢山の魔族の怪我を癒すと共に、心を癒すことまで覚えたようだ。本当にいい子で可愛い奴め。


 この子や他の狼達、エレナちゃんなどダンジョン都市の人たち、王都にいる王様一家、仕事で関わって良くしてくれた沢山の人やいつも配信を見てくれるファンのみんな。


 みんなに会えたのも、この魔界に来れたおかげだ。そう、全部魔界に来たおかげなんだ。何も悩むことなく、人族であることを隠し続け、この先もずっと魔界に居ればいい。


 人間界に戻ったとしても、上手くやっていける気はしない。果たして、俺の全てを否定し追放した者たちと馴れ合うことができるだろうか。


 魔界に居ても、人族であることがバレればまた全てを失うだろう。やはり、秘密を抱えて生き続ける他ないのだ。


 俺の理性はそう思っているし、それを望んでいる。余計なことを言う必要はない。皆が俺の秘密を知らなければ、誰も不幸になることなく、この一生を終えることができるだろう。


 魔界に来てすぐは、心からそう思っていた。しかし、今は違う。みんなと仲良くなればなるほど。好意を感じれば感じるほど、罪悪感によって心は悲鳴を上げた。


 俺に善意や好意を持って接してくれる全ての人を、俺は騙しているから。


 出身を聞かれたときの、サーっと血の気が引く感覚。笑い合うたびに、ギュッと心臓が閉まる感覚。これは、俺への天罰なのだろう。



 人族と魔族は仲良くなれない? そんなことはない。たかが種族の違いだ。出会い、親しくなれば種族なんて関係ない。そう思うのは、俺だけなのだろうか?


 みんなもきっとそう思ってくれるに違いない。そう楽観的に考えて、全てを打ち明けてしまえたらどれだけ楽なことか。


 そんな楽観的な俺だったなら、全てを失っても人間界でやり直すことができると本気で信じ込むことができるだろう。


 心配性な俺には到底不可能なことだ。こんなことになるなら、最初から隠さなければよかった。


 もっと早いタイミングで打ち明けていたら、情が生まれる前に打ち明けていたなら。否定され、失っても、またどこかでやり直せただろう。


 1人で悩みを抱えるのが、誰にも相談できないことが、こんなにも辛いことだとは、知らなかった。



『緊急事態発生! スタンピートが起こりました! 危険度は……SSランク! 直ちに避難してください!』


 沈黙の広がっていた空間に、突如として警報が鳴り響いた。そして、スタンピートを告げるアナウンスが轟く。


 危険度はSS……か。


 死んだなら、死んでしまったなら、全ての悩みも不安も、全て忘れて眠ることができるだろうか。


 




 



 


 


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


シリアスっぽい終わり方ですが、シリアス展開にはならないと考えておりますので、ご安心して次話もお読みください!


少しでも面白いと思って下さった方は、このページの下のほうにあるブックマーク登録ボタン、グッドボタンなどを押していただけると嬉しいです!


☆☆☆☆☆→★★★★★

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