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名声値の上昇

「え?名声値が上がった?」


 一瞬、軽く思考が停止した。


 思考が復活すると、今度は脳内が疑問に埋め尽くされる。


 どうしてだ?いままで1度も名声値が上がったことなんてなかったのに。


 何かのバグ? ドッキリ? イタズラか?


 しかし、何にせよ名声値が上がるならありがたいものである。いくらでもドッキリをかけてくれ。


 どうせなら、俺の名声値がSになるまでドッキリをかけてくれ……。




 そんな風に、しばらく現実逃避を続けていた俺の耳に『ピコン!』という音が響き渡った。


 これは……通知音か。なんの通知か確認すると、配信にコメントが書き込まれたことを知らせる通知であった。


 現実と向き合う時が来たようだな。


 きっと、配信を開けば『ごめんなさい! 間違えてファン登録しました!』だとか、『ファン登録したけど、スキルが気持ち悪いのでブロックします』などのコメントが書き込まれているに違いない。


 覚悟を決めて配信を開くも、ファン登録は解除されていなかった。それどころか、高評価ボタンまで押されているではないか!


 若干の期待を抱いて、コメントを表示させる。


『アレナ:初見です。ファン登録しました!カッコいい能力ですね!』


 ほ、褒めコメント!? 魔界ではそういうドッキリが流行っているのか?


 一応の警戒心を抱き、アレナさんのプロフィールを確認する。しかし、ドッキリ配信をしている様子はなかった。


 これは……本物のただの視聴者?


「あ、ありがとうございます! カッコいいですかね、地元では不人気だったんですが……」


 俺の能力がカッコいい? やはりドッキリ?……ありえない話だが、たまにはそういう人がいてもおかしくない……のか?


 このアレナさんのおかげでFランク特典もゲットできたし、ファン登録解除されないように気をつけないと。


『アレナ:ヴァリアンさんの能力、とってもカッコいいです!今日の狩りはもう終わりですか?もっと見たいです!』


「いえ、狩りはまだこれからです! 今日は野営するつもりなので、動物系を狩ろうと考えています」


 せっかくできたファンだ。絶対に逃しちゃいけない。本当はその辺の鳥でも狩って食べるつもりだったが、ここはいい印象をつけるためにも頑張らないと。


 俺のルックスに釣られた人間が、スキルを見た途端バットマークを押して配信から消えるのはよくあることだ。


 これは、見た目がいいという印象を持っていたのに、スキルの見た目は気持ち悪いというギャップ。それにより招く現象だと考えている。


 つまり、悪いギャップを見せなければファンは離れていかないはず……!


 かっこいいと言ってくれている以上、カッコ悪いところは見せられないな。


 魔界に慣れていないため、少しリスキーではあるが、格上の魔物に挑戦してみよう。


「お、ちょうどいいところにギガントボアがいますね! 今日はあれを狩ってみたいと思います」


 ギガントボア。Dランクの猪系魔物で、強力な突進技と牙が特徴だ。


『アレナ:ギガントボアですか?初配信でまだ私しかファンがいないのに、危険ですよ〜』


「任せてください! FランクスキルでもDランクの魔物くらい狩れますから!」

 

 どうやら、アレナさんは俺が配信を行うのは初めてだと考えているようだ。


 もう何百回も配信しているんだが、ファン数のせいでそう思われても仕方がないか。


 世の中には、俺のように何度配信してもファンがつかない人もいるはずなんだがな……なんだかこの人は、俺にファンがつくのが当たり前だと考えているような。


 こんなマニアックなスキルが好きな人はなかなかいないだろう。実は魔界では異形系が人気とか……まさかな。


 ひとまず思考をリセットし、ギガントボアを倒す手立てを考える。


 いつもだったら楽な相手だが、ここは魔界だからな。しかし、俺のスキルもFランクまで制限が解除されている。戦闘の幅も広がっているはずだ。


「……よし、これでいこう。」


 魔界の生物は怖い。出来るだけ一撃必殺で仕留めたいので、速度をつけて一撃で殺す作戦に決めた。 


【妖精の羽】


 アレナさんに戦闘の開始を告げ、背中から妖精の羽を生やす。


 生えた羽はいつもより大きく、そして多い。


 いつもはGランクの小妖精にしか変化できなかったが、Fランクになったことで成体の妖精に変化できるようになったためである。


 ふわりと羽を羽ばたかせると、やはりいつもより早いスピードで上昇していく。


【風鳥の翼】


 ある程度まで上昇したところで、妖精の羽をウィンドバードの翼に切り替えた。


 妖精の羽は浮かび上がることに特化しているため、移動速度はあまり早くないからである。


 ウィンドバードの能力で追い風を起こし、どんどん加速しながらギガントボアへ滑空していく。


 耳鳴りがするほど加速した頃。ギガントボアは、ようやくこちらの姿に気がついたようだ。


【鋭蠍の尻尾】


 しかし、遅い。俺の背に生えたスコーピオンの尻尾が、しっかりとギガントボアの目を捉えた。


 推進力を乗せた攻撃はやはり強力だ。突き刺さるだけでなく、ギガントボアの巨体をいとも簡単に貫通した。


 俺の基本的な戦闘スタイルはこれだ。複数の魔物の特性を利用し、火力不足を補う。こうすることで、さまざまな格上の魔物を屠ってきたのだ。


『アレナ:フェアリーの羽にウィンドバードの翼。それとスコーピオンの尻尾ですよね! 火の腕と緑色の瞳を見た時から思ってましたが、魔物と融合できるスキルですか?』


『アレナ:あ、ごめんなさい! スキルの話はマナー違反でしたね! 予定があるので今日は落ちます、次の配信も楽しみにしてます!』


 なんだか、嵐がさったような気分だ。ネタバラシもなしに、そしてこちらが一言も話すまもなく消えてしまった。


 やはり、普通の視聴者だったようだな。物好きな人もいるもんだ。


 次の配信も楽しみにしているとのとこなので、また見にきてくれるだろう。


 友達とか、知り合いにもおすすめしてくれたらいいんだがな。


 ひとまず今日は、ボアを解体してから野営をしよう。

8/16 加筆修正いたしました。



ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


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