魔界での初配信と初戦闘
「早速攻撃してみるか」
配信を開始したので、早速攻撃を仕掛けてみることにした。
【火妖の腕】
森に飛ばされたようなので、もちろん相手は植物系モンスター。弱点属性は火だ。
スキルを発動させ、右腕を火炎の腕へと変化させ、右腕を軽く動かした。
ゴウッ!
風を巻き込んで火炎が大きく膨らみ、周囲の木々を一瞬にして焦がす。
一度でも倒したことのある生物に限り、自身の体をその生物へと変化させることができる。これが、俺のスキルである。
「まあ、名声値がGランクのせいでGランクまでの生物にしか変化できないんだけどな……」
能力だけ変化すればいいものの、魔物の醜悪な見た目までも引き継いでしまう。これが、人から気味悪がられて迫害されてきた最大の原因だ。
気持ち悪いという理由で名声値が上がらず、Gランクまでの生物しか変化の対象として使用できない。
そのため、これまで色々と工夫して戦ってきた。限られた力を最大限活かせるよう訓練し、組み合わせ、相乗効果の爆発を起こす。
最初は体が変わる感覚に慣れず、嫌悪感に襲われたりもした。しかし、今ではかなり慣れて、Aランクくらいまでの強い魔物も相手にすることができるようになっている。
しかし、人間界の魔物より、魔界の魔物の方が強いと言われているのだ。程度はわからないが、あまり格上の魔物とは戦わないようにするのが賢明だろうな。
魔界の魔物を警戒すると決めたので、一度遠距離から攻撃してみようか。
狙いのモンスターたちから距離を取り、火妖の腕から真紅の炎を放出する。
不安定に揺れる赤い炎が植物たちを包み込み、それを燃料にさらに燃え盛った。眩しいほどの炎の山がゆらゆらと揺れ、次第に収まっていく。
今までの価値観でいうと、全ての植物が燃え尽きて灰なったため、炎が消え始めたと捉えるだろう。
しかし、ダメだ。あの火も俺の一部であるから、あまり炎が効いていないことが感じ取れる。
「やっぱりダメか……」
しかし、これくらいは想定内。Gランクの力でも、魔界の魔物を倒す工夫くらいはできるはずだ。
【火妖の腕】【風妖の瞳】
ひとまず炎の出力を最大限に上昇させ、それを増幅させるよう、風を送り込んだ。
風により、炎が関係のない木々を燃やしてしまわないように抑制する。
炎が何かを燃やしていく感覚と共に、焦げた匂いが漂ってきている。炎が効いている証拠だ。
そのまましばらく維持していると、燃やすものがなくなり、炎が消えた。広範囲に焦げた跡が広がり、大地が黒くなっている。
生き残った魔物もいないようなので、早速近づいてドロップアイテムを拾っていく。かなりの数だ、全ては拾いきれないので、選別して鞄にしまっておこう。
植物系の魔物は自分から襲ってくることが少ない。改めて考えると、最初に飛ばされた場所としては当たりだったな。
そんなことを考えていると、感情を感じさせないような、そんな女性の声が頭の中に響いた。
『名声値が1になりました。Fランク特典が与えられます。』
あとがき
8/11加筆修正致しました