脱出と外
体内に蓄積した魔素を排出するため、ダンジョンから脱出し、外の世界でしばらく暮らす必要がある。
そのため、配信をすぐに切り転移ポータルへと来ていた。
転移先を地上に設定し、転移ポータルを起動させると、ふわっとした浮遊感と共に視界が白く染まった。これが苦手なんだよな。
「Dランク以上限定! 前衛3名募集! 報酬は山分けだ!」
「Eランク以上限定! 支援系スキル持ち2名募集!1日あたり最低1万ゴールドは保証する!」
「ランク不問! 荷物持ち募集! 報酬は1日最低3000ゴールド!」
「いらっしゃい! お兄さん、ポーション買ってかない?火打ち石は足りてるかい?」
転移し終えたのと同時、白く染まっていた視界が開けると、外にはやはりたくさんの魔族がいた。
ダンジョン前は人間界と同じで賑わっており、露天を開くもの、臨時のパーティーメンバーの募集をするものなど様々だ。
ジロジロと見て目をつけられるのは勘弁だが、やはり気になるな。身体から生えている角や尻尾。魔族の特徴とも言えるその異形な身体の1部は、まるで魔物に変化した時の俺にそっくりであった。
しかし、人間によく似た身体に角などが付属しているだけなので、見た目は俺に比べたら100倍ましだ。
何たってこっちは、あの禍々しい肌の色や質感、浮き出る血管や異常な体つきなど、全てが魔物に変化してしまうのだから。
しかし、なんというか。皆格好が暗めで、黒系や闇系の装備が多いな。
人間界は光系や火系が人気で、成金のような金ピカの格好をしているような奴も結構いたんだが、こっちは暗黒騎士や暗殺者、死霊術師や呪術師のような格好が流行っているらしい。
自分も魔鉱石の鎧にゴブリンの仮面というイカれた装備ではあるが、それが全く問題にならないほど周囲もイカれている。流石は魔界だ。
おっと、もちろん俺は好きでこんなイカれた格好をしているわけじゃないよ。
配信と違い、顔にモザイクをかける機能なんて現実には存在しないため、人間であることがバレないよう仮面で顔つきを誤魔化しているのだ。
しかし、これだけの魔族がダンジョンの前にいるのにも関わらず、ダンジョン内では全く出会わなかったな。
攻略がまだあまり進んでいない新しいダンジョンなのか。それともこの周辺の魔族の冒険者のレベルが低くて攻略が進んでいないのか。
もしくは反対で、30階層なんて既に皆攻略済みで立ち寄ることがないのか。まあ、視聴者の反応や今見る限りだと、こっちの線は薄そうだ。
考え事をして立ちすくんでいたためか、少し魔族たちからの視線を感じる。さっさと移動しよう。ひとまず、魔族の集落でも探すとするかな。




