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クラーケンと闇龍の咆哮

 ボスのらしきクラーケンを発見した直後、周囲の水の流れが変化し始めた。


【大水妖の腕】


 荒れ狂うように急激に変化した水流に流されぬよう、大水妖の力で自身の周囲の水流を支配下に起き、流れを停止させる。


 ひとまず、一息つくことはできた。しかし、この状況をどうしたものか。一回、適当に攻撃を仕掛けてみよう。


【剛力大猩猩の腕】


 大水妖と反対の腕を剛力ゴリラに変化させ、その圧倒的な力で腰の短剣をクラーケンに投げつける。


 水流をもろともせずに突き進んでいた短剣だが、クラーケンは避ける素振りすら見せない。当たる直前、クラーケンは脚を一本動かし、あっさりと短剣を破壊してしまった。


「これじゃあダメか」


 剛力ゴリラの変化を解除する。水流の影響もあり、遠距離攻撃はほとんど届きそうもないな。届きはするだろうが、激流で勢いの弱まった攻撃がダメージを与えられるとも思わない。

 

 地道に近づいていくしかないか。近づいて、近接攻撃でどうにかケリをつけよう。


 大水妖やヒレの力でグングンとクラーケンに近づいていく。しかし、一定の距離まで近づくと、その長く大きな脚で攻撃を仕掛けてくるようになった。


「くっ」

 

 8本も脚があり、それぞれが独立して動き、なおかつかなりのパワーを持っているためとても厄介だ。

 襲いかかる脚を受け流しながら、攻略法を模索していく。


 ビビアンを倒した時のように、水モグラの能力で近くまで転移できたら楽なんだが、あいにく距離が離れすぎていて使えそうもない。


 水属性の弱点、雷も水中だと自傷ダメージが大きすぎて使えそうにない。やはり闇か。


【闇小龍の爪】

 

 絶えず襲い来るクラーケンの脚だが、いつまでも受け流しているわけにはいかないな。爪をダークネスミニドラゴンに変化させると、爪が黒く巨大になり、クラーケンの脚を軽く切断できるほどに鋭くなった。


 切断できるようになったはいいものの、すぐに再生してしまうな。


 襲い来る脚を切断し、切った断面に呪いをかけていく。こちらの魔力が続く限りではあるが、傷口が再生できなくなる不治の呪いだ。


 攻撃してくる脚が少なくなり、接近するチャンスが出来てきた。

 水妖の力で足の裏から大量の水を噴射し、タコの眼前まで高速で移動する。


「ふっ!」


 クラーケンもこちらが移動することを見越したのか、攻撃する脚を止め。紫色のオーラを纏い始める。


 人間界のクラーケンと行動前の行動が同じならば、毒墨を吐き出して攻撃してくるだろう。

 クラーケンの毒墨は強力で、かつ落ちにくく持続力が長い厄介な毒の効果を持っている。


 しかし、その効果範囲は狭いので大した問題はない。少し右方向へと進行方向をずらし、毒墨が吐き出される範囲と思われる場所を避けて接近する。


「ブフォォォォォォォォ」

 

 攻撃前行動が終わり、とうとう毒墨を吐き出したが……


「まずいっ!」


 効果範囲と射出速度を侮っていた!まずい!このままでは毒墨に突撃してしまう!



 水を逆噴射?だめだ。勢いをつけすぎて今更止まれない。


 水モグラで転移?だめだ。もう魔物に変化しすぎていて、これ以上多くの部位を魔物化することはできない。


 解除するとしたらダークネスミニドラゴンの爪だが、移動先を包囲するように大量の脚が待ち構えている。迎撃手段を失ったら、それこそ物理攻撃によってやられる。


 毒墨を食らってしまっても仕方がない。一度撤退してから立て直そう。


「くそっ!」


『名声値が1000になりました。Cランク特典が与えられます』


 これは……


【闇龍・咆哮】


 この技は、全身をダークネスドラゴンに変化させることで初めて使用できるようになる。龍系魔物の奥義とも言える技、ブレスだ。


 体全体が闇となり巨大化し、漆黒の鱗に包まれた闇龍を形取った。かつてないほど身体中にエネルギーが溢れ、今にも爆発してしまいそうだ。


 その溢れんばかりの力を全て集め、口元へと収束させていく。すると、口元に闇が出現し、周囲の闇を取り込みながら収束していく。


 闇がクラーケンの頭部を覆い尽くすほどの大きさまで肥大したころ。毒墨に接触する直前。巨大な闇の咆哮を放った。


 この暗闇の空間の相乗効果もあり、Bランク魔物にも劣らないほど、かなりの威力とスピードを持つブレス。

 

 抵抗など感じさせないほど呆気なく、毒墨もろともクラーケンを貫いた。

 


 



 

 

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