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第92話 黒幕②─復活─


   1


 下鴨神社の神域の奥にある開かずの間では、空になっている斎院の玉座の前に、八咫烏の大烏である安倍泰親と藤原俊成が対面していた。

「何だ、この凄まじい神威は!?」

 凄まじい気を感じた泰親は、心の中でつぶやいた。

「この凄まじい気……。おそらく、神の気であろう。とすると、天叢雲剣か十拳剣が使われたのであろう。そして、二人の幻獣の気を感じた」

 同じく気配を感じた俊成はつぶやいた。

「まさか、源師仲の仕業か」

 草薙剣を使える人間は、ごく少数しかいない。

 天照大御神の器である帝や賀茂斎院式子内親王といった神や仏に近しい存在、安倍泰親、源頼政といった八咫烏、それも大烏の中でもトップクラスの実力者、また、蘆屋道満や平将門といった強力な力を持った一部の外道の者たちぐらいである。

「大陸より持ち込まれた黄龍の力を持ち逃げした村上源氏の小僧だな。あの小僧は確かに実力はあった。が、陰陽道の禁術である反魂の術に手を出したりと人格的に問題があった。本来なら掟に背いた者は殺すことにしていたが、いかんせん奴は黄龍の力を持っているゆえ、迂闊に手は出せなかった。こうなる前に早めに殺しておくべきだった」

「ああ。宮中の天叢雲剣は形代といえども、力は尾張の熱田の宮にある本物の半分はある。八咫烏の中でも指折りの強さを持ち、白虎の力を使う頼政を葬ることぐらいは造作もない」

「大変なことになったぞ……」


   2


 変化をはじめ、六波羅を、いや、日本列島そのものを丸ごと地球のマントル層に引きずり込もうとしていたそのとき、稲光が光った。遅れて轟音が鳴り響く。

(誰だ!? 変化をした奴は?)

 雑魚はほとんど一掃した。将門の器も草薙剣に貫かれて何もできないただのヒトになっているはず。まさか、幻獣の力を使える者が他にもいるというのか!?

 戸惑っている黄龍となった師仲の身体を、電撃を纏った鋼鉄の拳が貫いた。

(そうか、あいつか!!)

 電撃を纏った鋼鉄の拳。幻獣の力を使う。師仲はこの二つの要素から、八咫烏時代の知己であることを確信した。

 師仲は攻撃が飛んできた方向を見た。目の前には、青い瞳をした白い虎がこちらを睨みつけている。

(白虎か。やはり頼政、貴様だったか)

 他心通テレパシーで、師仲は白虎本人が頼政かどうか脳内に問いかけた。

「いかにも」

 頼政は他心通で師仲の脳内に答え、

「お前の思い通りにはさせない!!」

 再び変化を始めた。

 変化をしたときは人形をとった。が、人間の姿の頼政とは大きく違った。若返っていたのである。

 青年の姿になった頼政は、白髪で青い瞳、手には何物をも切り裂く鋭い爪、犬歯は牙へと変わっていた。白髪の髪には真ん中に黒い筋が何条か走っている。

「変化をしたのは、久しぶりだな」

 瑞々しい声で、頼政は巨大な黄龍となった師仲を目の前にして一言つぶやいたあと、頼政の首元から光背が現れた。それと同時に近衛帝より賜りし愛刀獅子王を抜き、一振りした。幾重にも張られた結界が薄いラップやテープのようにするする切れていく。

「結界が!!」

 絶対に破れないと思っていた。が、やはり八咫烏の大烏。強力な結界を破壊することぐらい造作もない。

 師仲の結界が全て破られたあと、間髪入れずに大量の白金の礫が彼の身体を貫いた。そして最後に自身の本体がある核の前に、電撃を纏った白金の棘が突き付けられた。

「三種の神器を奪ったのはお前だろ?」

 棘を突き付けながら、頼政は聞いた。

 黄龍の姿のまま、白金の棘が逆鱗の近くに刺さり、目の前に突き付けられている師仲は、頼政の方をきっと睨みつけたままで、答えようとしない。

「答えないなら、このままこの白金の棘で串刺しにして殺してやってもいいんだぜ?」

 余裕ある笑みを浮かべながら、頼政は言った。

「ああ、そうだが?」

「それでお前は何をしようとした? まさか、お前自身が『弥勒菩薩』となって、この世界を自分の思い通りに書き換えようとでもしたのか?」

「それの、何が悪い」

「悪りぃが、お前は『弥勒菩薩』じゃねぇよ」

「そんなわけはない。私には白き龍の象徴である『源』の姓、そして龍の力を持っている。弥勒菩薩の器として……」

「だが、覚醒はしてないだろ? それに、他の世界と融合させて書き換える力も無いな」

「……」

「なんだ、わかってんじゃねぇか。じゃあ、ケジメはつけさせてもらうぜ」

 頼政は神通力の入っていない人形を取り出し、師仲に見せつけた。

「やめろ、それだけは、辞めろ!!」

「なーんて、嘘だ。朝敵のお前には、もっと苦しんで死んでもらわねぇとな」

 頼政は神通力の入っていない人形をしまい、後ろの地割れのある場所を一瞥した。

「あいつは地の底にある火の海に沈んだ」

「さて、それはどうかな?」

 そう頼政が言うと、師仲の方に金属が左右から飛んできて、彼の身体を貫いた。

(まさか、鬼切丸の使い手か⁉)

 鬼切丸の使い手は八幡太郎義家以来出ていないはず。まさか、当代に誕生していたのか。

 礫が飛んできた方向を師仲は見た。そこには長さ七尺もある峰が白い鱗で覆われた刃を持った義朝と頼朝の姿があった。

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