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縫い終わった鞄に

「……できた」

 エプロンと同じ色の鞄を胸の高さに持ち上げるサシャの頬の赤さに、トールの唇も綻ぶ。

 この鞄は、学業に必要なものを持ち運ぶために、サシャの叔父ユーグが績み織った麻布でサシャが丁寧に縫ったもの。当然、普段はエプロンの胸ポケットに収まってサシャと一緒に過ごしているトールも、この鞄の中に引っ越すことになるのだろう。石板や鉄筆を丁寧に鞄に収めるサシャの手に、トールは一抹の淋しさを覚えた。

 そのトールを、サシャが掴む。

 一呼吸で、『本』であるトールの身体は、サシャのエプロンの胸ポケットに収まっていた。

 戸惑いつつ、サシャを見上げる。

 トールを見下ろし、微笑んだサシャに、トールは小さく頷いてみせた。

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