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盆灯籠
不意に視界に入ってきた、様々な色に、思わず目を瞬かせる。
墓石の間に林立するのは、細い竹竿の先に括り付けられた、側面が色紙の逆六角錐。父母の実家がある瀬戸内でお盆期間に墓地に飾られる盆灯籠。そのカラフルの中に一対だけ見つけた白いものに、トールは小さく息を呑んだ。不運な事故で死んでしまった透の骨はまだ、あの日本海側の町にある、はずなのに。
「トール?」
サシャの声に、はっとする。
異世界の『本』に転生したトールの視界に映るのは、カラフルにはほど遠い、糸杉と石の並び。
どの世界でも、墓地は寂しすぎる。心の痛みを首を横に振ることでごまかすと、「大丈夫だよ」の意味を込めて、トールはサシャに小さく頷いてみせた。




