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面影は何処?
あの者は本当に、我が従兄オーレリアンの息子なのだろうか? 砦の兵士達が武術の訓練をする小さな広場で模擬剣を構えた白い影に唇を横に引き結ぶ。柔和な顔立ちも、小柄な身体も、従兄殿には全く似ていない。
「もう、サシャ」
頬を膨らませた、セレスタンの息子リュカの声に、はっと息を飲む。
「避けてばかりじゃない。ちゃんと相手して」
息子の言葉通り、あの少年はずっと、リュカが打ち込む模擬剣を綺麗に受け流すことしかしていない。俯いた白い髪に首を横に振る。従兄殿も、逃げるのは上手だった。叱る大人達からも、……好意を伝えた自分からも。
確かに、あの少年は従兄殿の息子だ。苦笑は、しかしすぐに喉の渇きへと変わってしまった。




