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狩人

勢いで書いたんでどっか変かも


とりあえず書いた分投稿したら寝る

 ガレイは孤児だ。

 両親は貧民だった。日銭を稼いで何とか食っていたが、父親が倒れ、母親が無理をして働いて死に、倒れた後寝込んでいた父もそのまま死んだ。

 ガレイが8つになっていたのは不幸中の幸いだった。物乞い、働き、盗み、どうにか食い物にありついて生きるすべを知っていて、それができる年齢だった。両親の知り合いがたまにくれる食い物も生き残るうえで大きかった。

 もう少し幼ければガレイものたれ死んでいただろう。


 そんなガレイも、現在12歳。

 今までちまちまとためた金でいつ暴発するかわからないような、ボロボロの拳銃を買い、今日、狩人としての一歩を踏み出すことになる。


 狩人。

 この世界は前文明期の機械が殺人マシーンと化し、突然変異によって生まれたミュータントが跋扈する。そんな世紀末。

 そしてそいつら、および盗賊の類を殺し、有用な部品なりを持ち帰り売りさばくのが狩人だ。

 力こそ正義のこの世界においての花形でもあり、底辺でもある職業だ。



◆◇◆



「くそっ! くそっ! くっそぉぉぉ!」


 ガレイは狡猾だった。頭が良くて、わきまえるということを知っている子供だった。他の子どものように銃を持ったとたんに自分が強くなったと錯覚しなかった。賢かったのだ。


 この年齢の子供にしては。


 結局のところ、経験不足。それと運もなかった。

 銃弾もタダじゃないので練習できない。銃なしで戦えば死ぬ危険が高い。銃があっても練習してないからぶっつけ本番にならざるを得ない。

 脳内シミュレーションはしたが所詮子供の想像。銃を撃って、それが当たって、殺す。当たらなかったら、もう一度撃って、当たって、やっぱり相手は死ぬ。当たるまで繰り返せば殺せる。

 今までの人生、盗みもしたので、逃走経路をあらかじめ決めておくことの重要性も知ってはいた。ヤバそうなら逃げればいいと思っていた。


 相手は今まで相対してきた人間とは違うということを、頭でしかわかっていなかった。


「「づぅぅぅぅぅううううう!」」


 瓦礫まみれの廃墟に、地獄の底から何かが這い上がってくるような低音が唸る。

 ガレイを追うミュータントの鳴き声だ。


「ハァ、んぐ。くっそ……」


 ガレイは逃げる。役に立たない拳銃を持ったまま。


 ミュータントと遭遇したとき、1発目は外した。

 まだガレイは焦らなかった。2発目を撃って、腹の辺りに当たった。

 ミュータントはさほどこたえた様子もなく迫ってくる。ここでガレイは焦りだした。銃弾が当たれば死ぬ予定だったのだ。死なずとも、苦痛で転げまわるはずだった。

 そして3発目。


 不発。その上、ジャムった。


 不発の弾丸が薬室内で引っかかって抜けなくなったようだ。暴発しなかっただけまだましだが、ガレイは自分の銃がこんなことになるとは思っていなかった。コンディションが悪いのは承知していたというのに、自分は大丈夫だとどこかで思っていた。

 ガレイは攻撃手段を失った。


 この時点でガレイは逃げようとした。退路は決めてある。幸い人間程度の足の速さのミュータントだ。退路は相手を撒きやすい、十字路などの多い道。ガレイの逃げ足は速い。どうにかなる、はずだった。


 退路のほうからも同じミュータントがやってきていた。


 退路を1本しか決めていなかったガレイは、よくわからない道を逃げる羽目になった。



◆◇◆



「はっ、ん。ふ、はっ……」


 瓦礫を飛び越え、角を曲がり、廃墟を縦横無尽に逃げ回った。とてつもなく広い範囲を走り回った。


 と、ガレイは思っているが、実際にはそこまで広範囲を走り回っていない。

 そんなに広範囲を走っていたら他のミュータントや殺人マシーンに出会っている。

 ガレイは狭い範囲をグルグルと走り回ってミュータントを撒くことに成功していた。

 今は廃墟の建物の中で身を隠している。


「なんだよっ! 不死身かっつーの。銃効かねーし、ジャムるし、もう1匹来るし……」


 ガレイは自分の想定が甘かったことに気付かされた。銃弾が当たってもひるまないこと、銃がジャムったこと、退路に新たな敵が出現したこと。すべて想定外だ。


「もっと金をためていい銃を買っていれば、いや、変わんねーか。銃、効かなかったもんな……。普通に銃で倒してるんじゃなかったのかよ……」


 今回出会ったミュータントはタコと呼ばれている。胸から下は人間、その上にタコが乗っているような外見だからだ。

 ちなみに頭を撃てば普通に殺せる。それ以外だと銃弾が当たっても気にしない。

 ガレイはこのことを知らなかった。


「はあ……。せめて売れるもんでも見つけないと」


 狩人はトレジャーハンターのようなこともする。

 人が生活する街や都市はバリケードや壁などに囲まれている。その外は廃墟と呼ばれ、ミュータントや殺人マシーンの徘徊する領域だ。

 その廃墟には、いろいろと使えるものがあったりするのだ。それを持ち帰るのも狩人の仕事の内だ。


「つっても、こんな街から近くちゃなんも残ってないだろうな……」


 当然、街から近い場所など、探索されつくしているものだ。

 だがこの建物はかなり広いようだし、探索されていたとしてもそれでもと、ガレイは建物内を探し出したが……


ガタンッ ゴト……


 風化してちょっと崩れている建物の中、物の散乱する場所を家探しするとなると音は出るもので。


「づうううぅぅぅ」


「!?」


 近くにいたタコが、物音に引き寄せられてくる。


(マズった! 思ったより近くまで来てたのか!)


 ガレイは隠れられる場所を探すが、隠れる前にタコが建物の中に入ってきた。


「づぅぅぅぅぅぅううう」


「っそが!」


 手の届くところに転がっていた細長い鉄の棒を手に取り、槍のように構える。

 幸い先端はとがり気味だ。上手く突けば十分刺さる。


「ううううううううぅぅぅ」


 タコが触手を振り回し迫ってくる。

 追い回されていたときは2匹だったが、今は1匹しかいないことが救いだろうか。


「くそくそくそくそっ!!」


 振り回される触手に当たった床がえぐれ、瓦礫が砕け散る。風化しているとはいえ、それなりに硬さはあるはずのものがだ。

 あんなものを食らえばひとたまりもなく、ガレイの骨は砕け、最悪一撃で死ぬ。

 当たるわけにはいかなかった。


 振り回される触手に当たらないように下がり続けるが、ここは建物内なのだ。

 限界はすぐに来た。


「っ~!? か、壁……」


 ガレイは背中に何かがぶつかって初めて気づいた。

 建物内では、いくら下がるにしても限界があったのだ。


「づううううううううううう!」


「ぁぁぁあああああああああ!!」


 ガレイは振り降ろされる触手がやけに遅く思えた。

 3本の触手が迫ってくる。

 何とか飛び込むように転がって躱そうとする。


(もっと速く! もっと速く! もっと速く!!)


 ガレイの認識では自分が転がるのもスローモーションだ。

 高速で回転する頭の中では、無数にもっと速く動けと、それだけが思い浮かび続ける。


 ゴバァァァアアン!


(…………は?)


 ガレイの目の前で、砕けた地面が奈落に吸い込まれていくのが見えた。


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