表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/20

桜が咲く時


 玲奈とよく似た少女は、玲奈の事を不思議そうに見ていた。彼女も、玲奈と同じような事を思っていたらしい。

「もしかして、ドッペルゲンガー?」

「ドッペルゲンガーって何…?」

どうやら、玲奈とよく似た少女はドッペルゲンガーが何か知らないようだった。玲奈は、昔茂から教えてもらった事をその少女に伝える。

「ドッペルゲンガーっていうのはね、自分とよく似た人がこの世に三人居てね、その人同士が出会ってしまうと死んでしまうって話。」

「へぇ…、まあ、もしそんな事があったら私がなんとかするから!」

少女はそう言ってどこからともなく鎌を取り出した。それは、智とよく似ているが、柄が水色になっていて、何処と無く可愛らしい印象を与える。



 玲奈は最初それに驚いていたが、智と同じように死神なんだと思うと、表情を戻した。それに気づいた少女は、不思議そうに玲奈を見つめる。

「私が死神でも、驚かないの?」

「うん、私の友達の中にも死神が居るから」

「そっか、私は死神は死神だけど、半端者だから…」

「半端者、ってどういう事?」

「私は、死神と人間の間の子だから…」

「じゃあ、華玄と同じような存在って事?でも、華玄は男の人だったし…」

死神と人間の間の子は冥界には居ないはずだ。フォレスの話からして、風見華玄が封印されて以来、死神と人間が結ばれる事はない。死神達から驚かれたので、そもそも生きた人間を見る事自体珍しいはずだ。



 それなのに、目の前に居る少女は、自分は人間と死神の子だと言っている。以前夢で出会った風見昴、華玄の産まれ変わりだと思われる少年程ではないが、目の前の彼女も、梨乃や智以上の霊力を持っているのが、玲奈には分かった。

「私は渡辺玲奈、君は?」

「私は剣崎真莉奈(まりな)っていうの」

「見た目もだけど名前も似てるんだね、私達」

「そうだね!」

真莉奈はしばらく玲奈の事を見つめていたが、樹の上で誰かが呼んでいるのに気付いて、上っていった。玲奈は、樹の隙間から真莉奈の姿が見られると思ったが、真莉奈の姿は全く見えなかった。



 すると、それと入れ替わるように智が玲奈の元へ現れた。

「玲奈、どうしたんだ?」

「智君、どうしてここに?」

智は頭を掻きながら笑った。理由は何であれ、玲奈に会いに来てくれたのは、玲奈は嬉しかった。

 

 そういえば、先程真莉奈は、苗字を剣崎と名乗っていた。智の親戚か何かだろうかと思った玲奈は、智に聞いてみる。

「智君って女の子の従兄弟って居る?」

「いや、父さんの方の従兄弟は居ないし、母さんの方には居るけど男の子だ。女の子の従兄弟は見た事ない。」

「じゃああの子は、なんだったんだろう…」

玲奈は、真莉奈が消えた先をじっと見つめていた。

「でも、何でだろう。あの子とは、真莉奈ちゃんとはいつかまた会える気がするんだ。」

智は、そんな玲奈を不思議そうに眺めていた。






 同じ頃、梨乃と勤も何かの声に呼ばれて何処かに向かっていた。二人が向かっているのは、白部山の奥深くにある巨木の桜だった。季節はもうすぐ夏になるというのに、花が咲いている。

「季節外れの桜が咲いている…」

その木の下には、誰かか立っていた。見た目からして、勤と同い年くらいの少年に見える。その少年は梨乃達が来るのを分かっていたようだった。

「待っていたよ」

梨乃達を待ち構えていたのは、水干を着た少年だった。少年は、御札を構えて梨乃達の方を見つめる。梨乃は、その少年に驚く事なくこう言った。

桜弥(さくや)、どうしてここに居るの」

「まぁ、風の気まぐれってやつかな」

桜弥は、そう言って突風を吹かせた。その勢いで桜の花は一気に舞い散る。どうやら、その花は実際に咲いていた訳ではなく、桜弥の霊力で具現化していたものだそうだ。

「勤君、離れてて!」

梨乃は一度勤を避難させた。



 そして、梨乃は式神を使って木の根を操り、桜弥を束縛しようとした。ところが、桜弥は梨乃の手の内が分かるようで、先回りして回避していく。

「清蓮の技を使えるようになったのか、流石だな」

桜弥は、そう言って梨乃が操る根を燃やした。


 どうやら、桜弥も梨乃と同じように様々な属性の技を使えるらしい。桜弥は、炎の勢いを更に増そうと風を起こした。

「マズイな、このままじゃ山が燃える…」

すると、梨乃は一度炎が燃えている場所から離れた。

「『水神招舞』!」

梨乃がそう言って技を放つと、バケツをひっくり返したような雨が一気に降り注ぎ、桜弥の炎は消えてしまった。

「この技には相手の戦意を失わせる効果もある、どうよ」

「流石だ、だがまだまだのようだな」

桜弥は、梨乃の術で浴びた水を服で拭き取り、背中を向けた。

「また会おうぜ」

桜弥はそう言って、風と共に消えてしまった。



 そして、取り残された勤は、梨乃の所に戻って来て、桜弥の事について聞いていた。

「梨乃さんはさっきの、桜弥っていう奴が何者なのか知ってるんですか?」

「まぁね…」

梨乃はそう言って何かを考えている素振りを見せた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ