散髪に行く
そして週末になり、玲奈は萌と一緒に家から少し離れたショッピングセンターに来た。そこには、愛花の父親の春樹が経営している、『Heir salon Haruki』という散髪屋がある。玲奈は、いつもそこで髪を切ってもらっていた。
店の前に着くと、萌は玲奈に散髪代とカードを渡して、こう言った。
「それじゃあ、髪切る間に買い物に行ってるからね。終わったらまた来るから」
「分かったよ」
玲奈は、財布の中にそれらを入れると、店の中に入って行った。
そして玲奈は、店主の春樹が居る椅子に腰掛けた。
「いらっしゃい、今日は一人で来たのかな?」
「お母さんと一緒に来ました。」
春樹は、玲奈にケープを被せてこう言った。
「どれくらい切って欲しいのかな?」
「えっと…」
玲奈は目の前にあった雑誌を手に取った。少しめくると、有名な女優が役作りの為に長かった髪の毛をばっさり切ってショートヘアーにしたという記事があり、それが写真になっている。
「これくらい切って欲しいんです」
「おお、大分切るんだね」
春樹は玲奈の髪の毛を触り、どのくらい切ればいいのか確認していた。
そして、春樹は慣れた手つきで玲奈の髪の毛にハサミを入れ始めた。玲奈の髪の毛は、みるみるうちに短くなっていく。
「そろそろ夏にもなるし、切ればすっきりするよ」
「ありがとうございます」
「愛花とは仲良くしてるのかな?」
「はい!」
玲奈は、目の前にある雑誌を見ながら、春樹と話している。そこには、今来ているショッピングセンターの記事もあった。
「玲奈ちゃんも雑誌読むんだね」
「普段あんまり読まないから…」
玲奈はその記事を読んで、次に萌と何処に行こうかなと考えていた。
すると、春樹が玲奈に向かってこんな事を尋ねた。
「そういえば、玲奈ちゃんはどうして急に髪を切りたいなんて思ったんだい?」
玲奈は、先日の智の事を思い出してこう答えた。
「気分を変えたいから…」
「どうして、そう思ったんだい?」
「ある男の子に、自分の事が好きだって言われたんです。でも私、何て答えたらいいか分からなくて…」
玲奈は、あの時返事をすぐ返す事が出来なくて、家に帰ってから今までずっと考えていた。あれから、智とは何度も会って話したが、返事だけは返せていない。
すると春樹はこんな事を言った。
「まずは玲奈ちゃんの素直な気持ちを伝えたらいいんじゃないかな?」
「私の気持ち?」
「玲奈ちゃんは、その子の事が好きなのかな、そうではないのかな?」
玲奈は再び智の事を考え始めた。春樹は敢えて、玲奈の答えを聞かない事にしていた。その子の事が好きだろうと嫌いだろうと、それが玲奈の気持ちだからだ。
玲奈の髪は首の辺りまでに切り揃えられた。そして、今度は梳きバサミで梳き始める。春樹は、玲奈の雰囲気を変えないように、前髪は敢えてそのまま残していた。
「玲奈ちゃんの髪は良い色しているね」
玲奈の髪の毛は、朽葉色をしている。だが、両親も祖父母達の中にその髪色の人は居ない。萌には、先祖の隔世遺伝と言われていた。
「愛花ちゃんには、毛先がハネやすいって言われましたがね…。」
玲奈の髪の毛は、敢えて毛先を残すように切っている。ショートヘアーは、美容師の技量が問われると言うから、それが得意な春樹は、確かな技術を持っているのだろう。
そして、髪の毛を切り終わった春樹は、玲奈の髪の毛にシャンプーをして、ドライヤーで乾かした。そして、ケープを外して玲奈にこう言う。
「はい、出来たよ」
「ありがとうございます!」
玲奈は、春樹にカードとお金を手渡して、店を出た。そして、萌と合流して、買い物に出掛ける。
萌は服屋に来て、玲奈にこう言った。
「この髪型に合う服を買おうかなって思ってね」
玲奈は、新しい服を買ってもらうのは久々だった。目の前には、玲奈にピッタリの可愛らしい服が沢山ある。玲奈は、その中から緑色のジャンパースカートを手にした。
「これどうかな?」
玲奈は横にあった黄緑色のシャツを持って、早速試着室に持って行って着替えた。それは、玲奈の新しい髪型に合っている。
「じゃあそれ買うわよ」
「やった!」
萌はその二着を買って、玲奈に手渡した。服を買ってもらった玲奈は喜んでいる。
「玲奈の気分が変わって、良かったわよ」
そして、二人はショッピングセンターで買い物を済ませ、家に戻った。
休日はいつも探偵団で忙しかったから、久々に萌と出掛ける事が出来て、玲奈は嬉しかった。




