脅威との戦い
智は鎌を取り出して、早速その怪に向かっていった。梨乃も、御札を持って怪に向かう。
「これだけ大勢の死神が立ち向かっても勝てなかったって、どれだけ強いのよ」
「実務に関わる死神以外は戦う必要がありませんから、そこまで強くないですね。寧ろ、俺が死神の中でも強い分類に入りますんでね。」
梨乃は御札を燃やして、怪にぶつけた。
「『火神招舞』!」
智も、梨乃の攻撃を見ながら、攻撃を続ける。
二人が戦っているのは商店街だ。このまま戦い続けていれば、被害か増えてしまう。そこで、智は攻撃しながら、怪を川岸の方へと誘き寄せる。結紀も、それを見て動き出した。
結紀は自分が動きやすいように糸を張り巡らせながら怪に近づいている。この姿で戦うのは初めてのはずだが、小さな身体を上手く利用して、器用に攻撃を交わしながら、糸で触手を縛った。
コットンも鎌を持ってきたが、三人の戦いの間に入り込めなかった。そこで、コットンは玲奈と勤の前に立って、二人を守ろうと動いた。
「コットンさん!」
コットンは鎌を握り締めていたが、戦い慣れていないらしく、動けなかった。
すると、玲奈達の目の前に触手が飛んで来る。コットンは綿毛で壁を造り出し、攻撃を防いだ。よく見ると、梨乃達が戦っている怪とは別の怪が、コットン達の目の前に居る。
「どうしましょう、ここも危ないみたいですね…」
勤が辺りを見回すと、川沿いに木造の楼閣が見えた。
「あそこに登るのはどうでしょうか?」
「そうですね、流石にあそこまで怪は来ないでしょう」
玲奈達はコットンと一緒に楼閣に登っていった。怪はそれを追うが、梨乃達の攻撃の巻き添えを喰らい、倒れてしまった。
智は、縛られている触手の怪に向かって、炎を纏った鎌を振り下ろした。
「『烈風の鎌』!」
怪はそれを喰らって燃え尽き、倒れていく。
「やった!」
商店街を襲っていた他の怪も、梨乃と結紀によって倒された。一連の戦闘を見ていた死神達は、それを見て驚いている。
「強いわあの子…、本当に人間なの?」
「あの子は、“忌み子”の子孫だ」
一人の死神が、梨乃にそう言って指差した。だが、梨乃はそれに気づいていない。
そして、梨乃達は、玲奈達が居る楼閣に登っていった。玲奈は、梨乃が無事な事が分かって肩を撫で下ろす。
「良かった…」
玲奈がそう安堵したその時、楼閣が急に揺れだした。見ると、先程倒した怪とは別の怪が、楼閣をよじ登ろうとしている。
「危ない!」
梨乃が怪に向かって攻撃し、その隙を付いて、智は玲奈を抱えて楼閣から飛び降りた。その下は三途の川になっている。
「玲奈!しっかりしろ!」
「智君!」
玲奈は智の肩をしっかり掴んでいたが、川に潜んでいた蛸の怪にそれを引き剥がされた。そして攫われ、智達からどんどん離れていく。
「玲奈!」
智は、それを必死に追おうとしたが、蛸の怪は思いの外速く、見失ってしまった。




