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005 カイサリアの襲撃

夜9時30分

燃え上がる炎の中に2人の男が立っている。

「お前。名前はなんて言うんだ?」

「まずはおめぇから名乗るべきじゃねえのか?」

「これは失礼。私はカイサリア。 」

奴は半笑いでそう言った。

「ストロマイトだ。」

「ストロマイトか... 聞いたことがないな。この島の能力者の名簿にはなかったはずだ。」

おそらく彼は本当のことを言っている。私の初期能力なんて能力診断検査にも引っかかりはしねぇ。世間じゃ無能力者扱いだ。

「だが、油断はできねぇなぁ! お前は私の攻撃を防いだ。その事実がある限り。」

彼の手のひらから炎が出てきた。

「だからこそッ すぐに決着をつける! ストレッチバーナァー!!」

また来る! 保護波動を発動しつつ、私は横にステップし、火柱を避けたように思えたが、

「なんだとぉぉ!」

火柱は曲がり*、こっちに向かって来るではないか!

まだ回避できる!が、

「もういっちょォォォ!」

もう片方の手からも火柱を出してきた。

「これは...挟み撃ちに!」

「もう逃げ場はねえ。さて、これに耐えられるかな?」

二つの火柱が私に襲いかかる。


「ガアアアアアァァ!!!」

熱い!息ができねえ!

目も開けられない。平衡感覚はメチャクチャ。自分の周りが熱すぎてエネルギー感知も役に立たない。奴どこにいるのかわからない!


「これで終わりだな。」

声がした。


「うおおォォォ! そこだァァ!」

私は殴りかかった。数発当てたが手応えがない。

「まだだァァ!」

バキンッ! 鈍い音がした。

手応えありだ。

「良し! ダメージは入った!」


「馬鹿め。」


彼は私の頭上からそう言った。

「お前が今まで攻撃していたのは私ではない。地面だ! 平衡感覚がとち狂ったか?」

私の拳は地面に刺さっていた。

「もう無理だな。今とどめを刺してやる。くら...」

「いいや、違うね!」

「なに?!」

「ダメージはきちんと入っている!」

私の狙いは最初から地面だったのだ。ここは大学キャンパス内の庭だ。庭なら「アレ」があるはずだ。

突然、私の拳から水が噴き出してきた。水はあっという間に私の全身を覆った。

「お前...まさか...スプリンクラー*を!」

こんなでっかい庭ならスプリンクラーを設置しているに決まっている。それを破壊したのだ。私は起き上がった。火はもう消えている。

「お前との距離は2mといったとこか...」

ここまで近づけば...

「畜生!ストレッ...」

「破壊波動*!俺の方が速い!」

メギョアァ! 相手が攻撃するよりも先に拳が顔面に食い込んだ。

「ボブエエエエエエェェ!!!」

まず一発。そして...


カラン カラン


奴が燃えた何かを投げ捨てた。

なんだ? なにをした?

私はそれを目で追った。


「カセットボンベ?!」

さっきテントから盗んでいたのか?

「しまった! 保護波動...」


ボコオオオォン!!


爆発が起きた。

「うぐぐぐ」

なんとか避けることができた。しかし、

「チッ 逃げたか。」

まずい。奴は私がどこにいるのかわかるが、私は奴がどこに行ったのかわからない。このまま逃げられたら厄介なことになる。

「まだ遠くには行ってないはずだ。」

行くとしたら...仲間のいる実験棟だ!



○火柱は曲がり

ストレッチきいてんねぇ!



○スプリンクラー

日本人にはあまり馴染みのないかもしれない庭用散水型のスプリンクラー。ちなみに水を出す時だけ頭を出す最新タイプ。



○破壊波動

振幅が大きく、振動数の少ない波を発生させる。有効範囲は狭いが、物体に対してダメージを与える。主に手や足などの末端部で発生させ、攻撃と同時に流し込んで追加ダメージを負わせるように使う。

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