細工練習
「この咎人とがびとを捕らえよ!」
息苦しいほどの緊張感は張り詰める城内にて、逃げ惑う一人の四刀の青年いた。青年は、華奢な肉体と女性ともいえる容姿を活かし、城内の警備の隙をみて掻い潜ていた。だが、その行動も虚しく、屈強な青い鎧を着た兵士の男率いる兵が、その男を取り囲んだ。
「もう逃げられないぞ、フランシス」
屈強な男は、その青年が逃げないように蒼き鎧を威圧的に音を立て、迫ってくる。
その状況に、四刀の青年は心の中で、「なんでオレがこんな目に……こんなはずじゃなかったのに……」とつぶやき、歯をかみしめて動揺をしている。
その顔に、余裕をもってか周りの兵たちは屈強な男の指示なしに、拘飛びついてきた。それは、まさに賊が女の子を襲うが如くの様であった。
青年は、皮一枚にひらりとかわして行き、時に腕を掴まれてもい振り払い拘束を解いていった。けれども、状況は平行線のまま。青年は一度周りを見渡すと、兵士間からガラスの窓が見えた。
青年は覚悟を決めたのか、その隙間を狙って三歩の助走をつけて、窓を突き破った。
その光景を見て、屈強なる男は高いところから落ちて死ぬような奴じゃないと判断をして、怒涛声をあげて、指示を出した。
「決して逃してはならぬ! 奴を追うのだ!」
「はっ」
兵士たちは威勢の良い声をあげて、すぐに下の階に降りていった。
そのころ、青年は天の青さを割くように転落をしていた。それもそのはずだ。いま青年のいる場所は、ミレトス王国の中心に高くそびえ立つ100メートルの高さを誇る、城から転落をして言ってるのだから。
青年は、体を押し沈む空気の流れの強さに、目も開けられずただ、着地したとき絶対無傷じゃすまないと思い絶望と恐怖を抱きながら、沈み落ちてゆくのであった。