ロズウェル2
短髪黒髪の少年。
多分、高校生くらいか?
そいつが、弾丸で地に伏した女性店員に駆け寄る。
まぶたに手をかざすと、女性はそのまま死んだみたいに動かなくなった。
「マリア、救急車を急いでくれ。 どれくらいもつか分からない」
「わ、分かった。 マイク、あなたは?」
「俺はヴァレンタインを追う。 こうなった以上、この街にはいられないだろうからな。 俺も、片がついたらこの街を離れる」
マリア、と呼ばれたもう1人の店員は、何か言いたげな目で少年こと、マイクの顔を一瞬見やる。
しかし、すぐに視線を切ると、携帯で連絡を入れた。
「ちょ、どういうことだよ? 全然話しが見えねんだけど」
私が割って入ると、マイクは眉をひそめた。
「……部外者はすっこんでろ」
「はぁ!? 私だってな、今外に出てた奴を追ってんだよ」
「……あんた、一体何者だ?」
「私は死神だよ」
私は、背中を向けて、しょってる鎌を親指で指した。
「子連れの死神? ……だったら丁度いい。 事情を説明するから、協力しろ」
ここじゃマズい、と言って店の外に出ると、ジープの横までやって来た。
「中に入ってくれ」
ジープの中で聞いた、ヴァレンタインの正体。
「あいつは、保安官なんかじゃない」
マイクは、ヴァレンタインがエイリアンを殺すために政府から派遣された人間であることを突き止める。
マイクは、自宅で食虫植物を育てているだけの善良な市民で、エイリアンとは関係がない。
しかし、今日、事件は起きてしまった。
友達のリザは、マイクを庇って重傷を負った。
「ヴァレンタインの野郎は絶対に許さない。 俺はただの植物好きで、別にエイリアンを飼育していた訳じゃない」
「……」
マイクの話には嘘がある。
さっき、マイクがリザに手をかざした時、苦しんだ表情だったのが、すぐに安らいだ。
何か、超常的な力がマイクには備わっている。
だが、仮にマイクがエイリアンだったとして、非があるのは明らかに相手だ。
私は携帯からオペレーターに繋いだ。
「ヴァレンタインの居場所を教えてくれ」
「この先のルート205を北上しています」
「ルート205、だとよ」
「オーケー」
マイクは、アクセルをふかした。