ガーゴイル
3日後、旅館内にある食堂。
ここで、レモン、クロサキ、私とウォーリーの4人で、朝食のバイキングにありついていた。
「3日間寝てた気分はどーだよ?」
「あったま、痛い……」
「……同じく」
寝不足も良くねーけど、寝過ぎも良くないっつーしな。
あの後、私の鎌の能力で、2人は3日間眠りについた。
その間、私のペナルティは解除され、無事に死神に戻れた訳だ。
その際、上司から連絡が入り、次の任務が言い渡された。
「イーストシティの連続殺人犯を追え」
それが、私の次の依頼だが、丁度良かった。
何故なら、イーストシティの殺人犯はウォーリーの母親の敵で、私はそいつを討つつもりだったからだ。
「イーストシティの殺人犯についてだが」
クロサキが、クロワッサンを口に運びながら、そう言った。
こいつ、朝食はパン派か。
「ガーゴイル、らしい」
「ガーゴイル?」
「先輩、知らないんですか? 社会に出ていて、何らかのプレッシャーで心身的に追い詰められた人間が、極稀に発症する病気、モンスター。 そのレアケースが、ガーゴイルです」
知ってるっつの。
要するに、仕事とかで追い詰められて、発狂してモンスター化する、みたいな病気だ。
「大概、ゴブリンだろ?」
「通常はそうだが、ガーゴイルの場合、仕留めるのは難しい」
……そんな強いのかよ。
「だからカンナ、お前が選ばれたんだ」
私なら、相手を催眠状態におとしめて、捕獲することができる。
それともう一人、今回の任務のバディとして、死者の声を聞く能力を持つ、死神が選ばれた。
この後、イーストシティの死体安置所で合流予定だ。
恐らく、ガーゴイルは人間のなりで身を潜めている。
だから、被害者(死体)から情報を聞きだそうって話だ。
食器を片づけて、食堂から出ようとした時、背後からレモンの声がした。
「先輩、次は負けませんから」
「……ああ、いつでもかかってこいよ」
私は、そう答えて食堂を後にした。




