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守護者は死神  作者: oga
10/27

クサツ

 日が大分落ちてきた。

さっきのラインの内容は、宿泊先に関する情報だったが、予約してあるホテルは偶然にも、クサツの旅館だった。


「ぜってー罠、だよな……」


 夜道をバイクで進む中、ボソリとつぶやく。

だが、レモンがどんな罠を張ってんのか、少し興味がある。

つか、そんなもんにいちいちビビってらんねー。

ハイウェイから下道に降り、周りが畑の一帯を進む。

しばらくして、湯気の立ち上る温泉街に到着した。


「ウォーリー、着いたぜ」


「……だあ、だあ」


 バイクを旅館の駐車スペースに置いて、ウォーリーを抱えて中に入る。

旅館の名前は「またたび」

ボロ…… 雰囲気のある建物で、引き戸をガラガラと開けると、女将ではなく、猫が出迎えてくれた。


「みゃ~ん」


「今日、予約してあるカンナっす。 上がってもいいんすか?」


 猫はそのままスタスタと奥へと向かう。

ラインには、105号室で予約してあると書かれていた。

とにかく、この猫についてってみる。


「105号室、ここか」


 襖を開ける。

部屋の広さは、10畳程度の畳部屋で、テーブルに菓子とお茶、その他にはテレビが備え付けられている。


「浴衣とか、ねーの?」


「にゃ~ん」


 私の問いかけに答えて、猫は後ろのかごを指さした。

そこに、浴衣が畳んで置かれてある。

説明を終えると、猫は部屋から出て行った。


「……さて、どーすっか」


 飯にするか、温泉にするか。

ここは確か、湯畑が名物だったハズだ。

湯畑っつーのは、要するにあっつい湯を空気で晒して温度調節する装置で、見た目は流しそうめんみてーな感じだ。

スマホの画像でしか見たことねーけど、生で見ときてーな。


「よし、決めた! まずは飯、んで、湯畑見てから温泉だ。 ウォーリー、それでいいべ?」


「だあ、だあ」


「決まりだな」


 私は、ルンルン気分で浴衣に着替え、外へと出た。



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