9/14
夢川 水軌からの手紙
水軌は急いで手紙を書きあげた。
『南舎1階の踊り場へ直ちに向かえ。』
正体がバレないようにと思い、例え、筆跡鑑定されても大丈夫な書き方をした為時間が少し掛かった。
その失敗枚数、18枚。
家に持って帰って捨てなければ、もし自分の手掛かりを探されたら一発で終わりだと思ったので、急いで鞄に詰め込んだ。
ローブを着なおし、立ち上がると、肌身離さず持ち歩いている──、自分が唯一、女々しいと思いつつも好き好んで所有しているロケットペンダントが胸元で揺れた。
水軌は、愛おしげに彫刻が施されている部分を撫でると、開く。
そこには、小さい頃のテレーゼと水軌が写っていた。