沈むヒト
体が重い
その理由を私は知っていた
胸が鉛を抱え込んで嬉しそうに笑っているのだ
罰ダ
罰ダ
鉛を伴った体は
粘り気の強い泥を割って
ずぶずぶと順調に沈んでいく
穴という穴から泥が入り込み
呼吸なんかとうに出来なかった
それでも意識ははっきりしていて
苦シメ
苦シメ
ケタケタと笑い交じりに胸が言う
動物としての本能が救いの手を求めて伸びる
苦しいんだ
苦しいんだ
助けないでくれ
そう
助けないでくれ
伸ばした腕は掴まれない
それで、いい
救われないことが救いなのだから