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肉スライム

 グレンダード=メロリーは、栞の一番の下僕であると自称する男である。

 なので、事あるごとに栞の気をひこうとする。

 季節の花のミニブーケや城下で有名な菓子店の飴など、さまざまなものを手土産にやってくる。

 だが、だいたいの場合、栞には「みんなでいただきますね、ごちそうさまです」とか、「厨房が明るくなりました、ありがとう」などで済まされる。

 そこで、彼は考えたのだ。

 栞の気をひくためには何を贈るのが一番良いか?

 答えはすぐに思いつく。

 『食材』である。

 それも、珍しい食材がいい。

 彼女の記憶に強く残るような食材が!



「ヴィーダ、生きのいいいい肉スライムをもってきました。見てください、この新鮮つやつやなピンク色を」

「メロリー卿、カチカチに凍らせた死んでるのしかいりませんから!私、一度、痛い目あってるんですから!」

「えええっ、せっかく新型の専用容器で生きたまま持ってこられるようになったのに!」

「どうせ殺すんですから。それ、すっごく無駄な機能です!!」

「新鮮さを保てるし、活き作りとかどうよ?」

「……誰が食べるんです?そんな必殺料理」


 おまえがまず最初に食え、と物陰からその様子を見ながらつぶやいたディナンは、己の片割れの姿を探す。


「……リア?」


 トイレにでも行ったのだろうか?とも思うが、さっきまで、ヴィーダにあんな危険を近づけるなんて!どうしてくれよう、と呟きながら隣で不気味に笑っていたはずなので、何だか少しだけ気になる。

 ほどなくしてリアはすっきりした表情で戻ってきた。


「どこ行ってたんだ?」

「ちょっと、お手洗い。行く途中でプリン殿下にお会いしたけど」

「……ふーん」

「きっと、メロリー卿は明日からとっても忙しくなると思うわ」

「いいんじゃないの、ここで油売ってる暇あるんだから」

「そうよね」


 二人は顔を見合わせて笑った。

 それはとてもよく似た笑顔だった。


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