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永平寺はブラック企業!? ――月給3000円、不眠不休の厨房で学んだ「完璧じゃなくてもいい」  作者: 佐藤 堅明


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4/8

第4話:「べっす」を掃け!?――地獄の旦過寮を終えた後の大失態

地獄の旦過寮をようやく抜け、一般修行僧である「新頭しんとう」の仲間入りをした私。初めての大きな法要に参列(随喜)することになり、緊張がピークに達した私の耳に、先輩からの謎の指令が届きます。

 前回お話しした、一週間に及ぶ地獄の「旦過寮たんがりょう」をようやく終え、私は「新頭しんとう」と呼ばれる一年生として一般修行僧の仲間入りをしました。


 永平寺では、この時期になると新入りも一人前として扱われ、大きな法要への随喜ずいき――つまり正式な参列を許されるようになります。

 私にとっては、これが初めての「公式な大舞台」でした。

 一ミリのミスも許されない。そう自分に言い聞かせ、緊張で心臓の音が聞こえるほどガチガチになりながら準備を整えていると、先輩の和尚さんから鋭い声が飛びました。


「おい、早く『べっす』を履け!」


 べっす……?

 当時の私は、その言葉の意味をまだ知りませんでした。


(漢字では『襪子』と書きます。足袋に似ていますが先が分かれていない、お坊さん特有の靴下のような履物のことです)


 しかし、混乱していた私の耳が拾ったのは、履物ではありませんでした。


「えっ、ベッス? ……あ、どこか特定の『場所』の名前か!別室かなんかか?」


 そう勘違いした私は、何を血迷ったか、近くにあった「ほうき」を手に取りました。「べっす(という場所)を掃け!」と言われたのだと思い込み、必死に掃除を始めようとしたのです。


「……何してるんだ、お前?」


 ほうきを持ってウロウロする私を見て、先輩和尚はポカンとした後に大爆笑。


「掃除してどうする! 足に履くんだよ!」


 もう、顔から火が出るどころか、自分自身が線香の代わりになれるのではないかと思うほど真っ赤になりました。地獄の旦過寮を抜け、気合を入れて臨んだ初法要の直前に、ほうき一本で爆笑をさらってしまった、若き日の苦い思い出です。


合掌

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


また、昨日の初日から多くの方にお読みいただき、驚きと共に感謝の気持ちでいっぱいです。これからも末永く宜しくお願いします。


さて、今日の話は、ようやく厳しい試練を一つ乗り越えたと思った矢先の出来事でした。「知らない」ということは、時に恐ろしい行動を引き起こすものですね(笑)。あの時、ほうきを握りしめたまま固まった私の姿は、今でも先輩方の語り草になっているとかいないとか。


 明日は、永平寺のさらなる現実。人生で最初で最後で最大の壁に泣き崩れたお話です。

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