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永平寺はブラック企業!? ――月給3000円、不眠不休の厨房で学んだ「完璧じゃなくてもいい」  作者: 佐藤 堅明


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3/8

第3話:旦過寮の地獄と、魂の「コーラ」

『一挙三話公開』


今回は、永平寺に入って最初の関門「旦過寮たんがりょう」でのお話です。外界の情報をすべて遮断された極限状態で、ある若き修行僧が叫んだ「一言」が、地獄を招くことになりました。

入社式を終え永平寺に入れると、最初は三十人ほどの同期と一緒に大部屋に押し込められます。そこは「旦過寮たんがりょう」と呼ばれる、新入りのための最初の試練の場です。

 そこで一週間、テレビもスマホも一切なし。ひたすら壁に向かって坐禅を組み、作法やお経を叩き込まれます。足のしびれが限界を超え、感覚すらなくなる……そんな静寂の日々が続きます。


 ところが、ある夜のこと。

 張り詰めた糸がプツンと切れたのでしょう。一人の同期が、突然叫んだのです。


「あー! もう嫌だ!! コーラ飲みてぇ!!!」


 全員が「……えっ!?」と固まりました。

 静まり返った「お山」で、最も不釣り合いな文明の単語が響き渡ったのです。慌てて隣の者がたしなめましたが、もう遅い。


 ガラッ! と襖が開いて、古参の和尚さんが仁王立ちしていました。

「連帯責任だ。全員起きろ。いいと言うまで正座してろ!」


 叫んだ本人は顔を真っ青にして、今にも泣き出しそうに私たちへ謝罪の視線を送ってきます。しかし、怒る気力すら湧かないほど、そこからの正座は過酷でした。

 永遠に続くかと思える時間……。あの時ほど、一人の身勝手さと、連帯責任という言葉の重み、そしてコーラの美味しさの思い出を噛みしめたことはありません。


 過酷な環境だからこそ見える、剥き出しの「人間の本音」。

 皆さんも、もしコーラを飲む機会があったら、修行僧の「魂の叫び」をちょっと思い出してみてくださいね。


合掌

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

一人の失態が全員の責任になる「連帯責任」の厳しさは、当時の私たちには本当に辛いものでしたが、今となっては大切なチームワークの学びでもありました。


さて次回は。旦過寮を終え、「新頭」と呼ばれる一般修行僧となった私を待っていたのは、あまりに恥ずかしい大失敗でした。

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